申込数は目標に届いた。参加率も悪くない。それなのに、商談の話が出てこない。ウェビナーの報告でよく起きるずれです。
原因が集客の量にないなら、疑うのは参加者の内訳です。誰が来ていたのか。この記事では、来てほしい人を決めてから確かめるまでの流れを説明します。相手に届く形へテーマと告知先を合わせ、開催後に参加者の内訳で答え合わせをするところまでが範囲です。当社がウェビナーやカンファレンスを企画・運営してきた実務が土台です。
この記事でわかること
- ウェビナーのターゲット設定とは何か。申込数や集客単価では見えないもの
- 来てほしい人を決める3つの軸
- 決めた相手に届く形へ、テーマと告知先を合わせる方法
- 開催後に誰が来たかを確かめる手順
- 狙いとずれていたときに、どこから直すか
ウェビナーのターゲット設定とは
ウェビナーのターゲット設定とは、誰に来てほしいかを先に決めてテーマと告知先をその相手へ合わせ、開催後に参加者の内訳で狙いどおりだったかを確かめる一連の設計のことです。
集客の途中で見る数字は、申込数と集客単価が中心になりがちです。どちらも数えやすく、社内で共有しやすい指標といえます。ただし、この2つは「何人集まったか」しか映しません。同じ申込数でも、来ているのが決裁に関わる人なのか情報収集を始めたばかりの人なのかで、開催後に起きることはまったく違います。
BtoBでは、そもそも買える立場の人が限られています。そのため成果を左右するのは、リードの数よりも、その中に狙った相手がどれだけ含まれているかです。集めやすい層ばかりが集まると、単価は安く見えても、商談から遠いリードが積み上がることになりかねません。
来てほしい人を決める3つの軸
来てほしい人は、次の3つで決めます。
- 役職:その人が決められるのか、決める人へ話を上げられるのか
- 部門:扱う課題を、日々の業務として持っている部門か
- 課題の段階:いま困っているのか、将来に備えて調べている段階か
3つのうち、抜けやすいのは3つ目です。役職と部門だけで決めると、対象は広く取れますが、集まる参加者の検討の深さが揃いません。今期の予算で解決したい相手と、来年度に向けて情報を集めている相手では、同じ話を聞いても次の動きが変わります。
決めるときに有効なのは、実在の商談相手を思い浮かべることです。直近で受注した案件の担当者は、どの役職でどの部門にいて、どんな状態で問い合わせてきたか。その人を1人思い出せれば、3つの軸はほぼ埋まります。

決めた相手に、どう届けるか
相手が決まったら、次はその人に届く形をつくります。見るのは告知先とテーマの言葉の2つです。
告知先を相手に合わせる
まず、決めた相手が自社のリストの中にどれだけいるかを数えます。
役職と部門で絞ったとき、手元のリストに何名残るか。この人数が足りなければ、テーマをどれだけ練っても届きません。自社のリストで足りるかどうかは、そもそもウェビナーが向いているかの判断にも直結します。
▶ 自社のリストで成立するかの判断は、以下の記事で解説しています。
🔗 ウェビナーが自社に向いているかの判断
足りない場合の道は2つあります。1つは、他社と組んで、その会社のリストに届けてもらう形です。もう1つは、広告や告知媒体で狙った層に絞って配信する形です。共催で補う場合は、相手企業のリストに本当にその層がいるかを、組む前に確かめておく必要があります。
▶ 共催で届ける場合の進め方は、以下の記事で解説しています。
🔗 共催ウェビナーの進め方

テーマの言葉を相手に合わせる
次に、タイトルと案内文の言葉を相手に寄せます。
同じ内容でも、書き方によって来る層は変わります。「BtoBマーケティングの最新動向」と書けば幅広く集まりますが、集まった参加者の課題はばらつきがちです。「導入から半年で問い合わせが止まった場合の立て直し」と書けば、対象は狭くなり、代わりに当てはまる人だけが申し込みます。
言葉を広く取れば広く集まり、狭く取れば当てはまる人だけが残る。この関係は、どの形態で開くかを選ぶ場面にも共通するものです。規模と商談の近さがどう釣り合うかは、別の記事で詳しく扱っています。
▶ 形態による規模と商談化率の関係は、以下の記事で解説しています。
🔗 単独・共催・カンファレンスの選び方
案内文には、誰に向けた回かを明記しましょう。「こんな方に向いています」と書き添えるだけで、読み手は自分に必要かどうかを判断できます。狙っていない層が申し込みを見送っても、この設計では狙いどおりの結果です。
開催後に誰が来たかを確かめる
ここからが、多くの振り返りで抜けている部分です。集めた結果を、人数ではなく内訳で見ます。
見るのは、申込者の役職・部門の内訳です。決めた軸のうち、申込フォームで聞ける役職と部門に当てはまる人が、申込者のうち何割を占めたか。当社ではこれをターゲットの申込率と呼んでいます。この割合が、狙いどおりに呼べたかの答えになります。人数が目標に届いていても、割合が低ければ、開催後の商談は伸びません。逆に人数が目標に届かなくても、割合が高ければ狙った相手には届いていたといえます。
この割合は、当社の振り返りでも開催後に確かめる指標のひとつです。申込みに至るまでの段階ごとの見方は、結果の読み方の記事で扱っています。
▶ 開催後の結果の読み方は、以下の記事で解説しています。
🔗 ウェビナーの結果の見方

確かめるには、前提が1つあります。申込フォームで役職と部門を取得しておくことです。課題の段階は聞き取りにくいため、申込時の設問ではなく、当日の質疑や開催後の連絡で確かめる範囲になります。取得していなければ、開催後にどれだけ数字を眺めても内訳は出せません。項目を増やすと申し込みの手間は増えるため、必須にするかどうかは判断が必要です。少なくとも、後から集計する予定の項目だけは、開催前に決めておきましょう。
狙いとずれていたときの直す順番
内訳が狙いとずれていた場合は、次の順で見ます。
| 見る順番 | 疑うところ | 直し方の方向 |
|---|---|---|
| 1 | 告知先 | 決めた相手が、そもそも届け先にいなかった。リストを見直すか、共催・広告で届け先を増やす |
| 2 | テーマの言葉 | 届いてはいたが、自分に必要な話だと思われなかった。タイトルと案内文を相手の課題の言葉に寄せる |
| 3 | 狙いの定義 | そもそも広く取りすぎていた。役職・部門・課題の段階のどれかを絞り直す |
上から順に見るのは、手間が小さいからではありません。上ほど原因である可能性が高いためです。届け先にそもそも対象がいなければ、テーマをどう書いても内訳は変わりません。届いていたのに手が挙がらなかった場合に、初めて言葉の問題を疑えます。狙いの定義まで戻るのは、告知先と言葉の両方を直しても内訳が動かなかったときです。
この順番は、直す手間の小ささとも一致します。告知先の入れ替えは次回から試せますが、狙いの定義を変えると企画そのものを組み直すことになります。

なお、人数そのものが足りていない場合は、内訳より先に集客の手立てを見直すのが順番です。
▶ 集客の具体的な方法は、以下の記事で解説しています。
🔗 ウェビナーの集客方法
まとめ|決めて、届けて、確かめるまでが一続き
ウェビナーのターゲット設定は、相手を決めただけでは終わりません。届けて、確かめるまでが一続きです。押さえどころは次の3点です。
- 3つの軸で決める:役職・部門・課題の段階。実在の商談相手から逆算する
- 告知先とテーマを合わせる:リストで足りなければ共催や広告で届け先を増やす。案内文に「こんな方に向いています」を書く
- 開催後に内訳で確かめる:ターゲットの申込率(申込者に占める狙った相手の割合)を見る。そのために申込フォームで役職と部門を取得しておく
次のアクション
- 直近で受注した案件の担当者を1人挙げ、役職・部門・問い合わせ時の状態を書き出す
- 自社のリストを、その条件で絞って何名残るか数える
- 次回の申込フォームに、集計する予定の役職・部門の設問が入っているか確かめる
ターゲット設定から入るウェビナー支援
当社フラグアウトでは、誰を呼ぶかの設計からウェビナーを支援しています。当社自身でも単独開催から数百名規模のカンファレンスまでを企画・運営しており、集めた結果を内訳で振り返るところまで運営者として関わっているのが強みです。次のようなお悩みをお持ちの方に向いています。
- 集客数は出ているのに、商談につながらない
- 誰に来てほしいかを、社内で言葉にできていない
- 自社のリストで狙った層に届くのか判断できない
- 開催後の振り返りが、人数の報告で終わっている
- 申込フォームで何を聞いておくべきか分からない
ターゲットの設計から集客・当日運営・振り返りまでお引き受けします。支援内容の詳細は資料にまとめています。まずは現状をお聞かせください。
ウェビナーのターゲット設定におけるよくある質問
- Qターゲットは、どこまで絞るべきですか?
- A
絞るほど当てはまる人だけが集まり、外れる人は申し込みません。それは失敗ではなく設計どおりです。ただし絞りすぎて手元のリストに対象がいなくなると集客が成立しないため、リストで何名残るかを数えてから決めます。
- Q役職と部門を、申込フォームで必ず聞くべきですか?
- A
後から集計する予定があるなら聞いておきましょう。ただし必須項目を増やすほど申し込みの手間は増えます。回答を任意にする、選択式にするなど、負担を抑える形を先に決めておくとよいでしょう。
- Q参加者の内訳が狙いとずれていたら、失敗ですか?
- A
失敗とは限りません。ずれた原因を特定できれば、次回の設計に生かせます。届け先とテーマの言葉、狙いの定義のどこが外れたのかを順に見ていきましょう。詳細は本文「狙いとずれていたときの直す順番」をご覧ください。
- Q自社のリストに狙った層がいない場合は、どうすればよいですか?
- A
他社と組んで、その会社のリストに届けてもらうか、広告や告知媒体で狙った層に絞って配信する方法があります。どちらも取れない場合は、リストを作る施策のほうが順番として先になります。
- Q何名集めれば成功といえますか?
- A
人数だけでは判断できません。同じ申込数でも、狙った相手が占める割合が違えば、開催後に起きることが変わります。人数と割合の両方を見る必要があります。
- Q広く集める回は、作ってはいけないのですか?
- A
目的が認知の拡大なら、広く集める回にも意味があります。避けたいのは、商談を目的にしながら広く集め、結果を人数だけで評価することです。回ごとに目的を決めておくと、評価の基準がぶれません。
