「競合がウェビナーを始めた」「うちはやらないのかと聞かれた」。開催のやり方を説明する情報は豊富にあるのに、そもそも自社に合うのかを確かめる方法は、あまり語られていません。
ウェビナーの成否を分けるのは、開催の上手下手より前の段階です。この記事では、向き不向きを分ける3つの条件を順に確かめる方法をお伝えします。他のリード獲得施策との使い分けと、やらないと決めてよい場合まで扱います。当社がウェビナーやカンファレンスを企画・運営してきた実務が土台です。
この記事でわかること
- ウェビナーの向き不向きが、開催前のどこで決まるか
- 向き不向きを分ける3つの条件と、確かめる順番
- 集客がうまくいかない原因が開催前にあった実例
- 他のリード獲得施策との使い分けの考え方
- やらないと決めてよい場合と、その代わりに何をするか
ウェビナーの向き不向きとは
ウェビナーの向き不向きとは、開催の上手下手ではなく、届けたい相手のリスト・商材の検討期間・続けられる体制という開催前の条件で決まる適性のことです。
世の中の情報の多くは、開催を前提に書かれています。テーマの決め方、集客のやり方、当日の進行。どれも大事ですが、その前に確かめられる条件が3つあります。ここを飛ばして始めると、開催の努力では取り返せない壁に、あとからぶつかることになりかねません。
向き不向きを分ける3つの条件
確かめる条件は3つです。届けたい相手のリスト・商材の検討期間・続けられる体制の順に見ていきます。

条件① 届けたい相手のリストがあるか
いちばん重い条件は、そのテーマを聞きたい人が、連絡できる先にどれだけいるかです。ここでいうリストとは、狙いたい相手の属性の定義ではなく、自社が保有していてメールなどで実際に連絡できる相手の名簿を指します。
当社が支援した、採用領域のサービスを提供する企業の例を挙げます。単独セミナーを開いたところ、メール経由の申込みが出ませんでした。数字を順に見ると、メールの開封率は一般的な相場より高く、クリック率は低いという結果でした。件名には関心を持ってもらえたのに、中身が読み手の業務と合っていなかった、という組み合わせです。さかのぼって確かめた結果、このテーマに関心を持つ層が、手持ちのリストにほとんどいなかったことが分かりました(開催自体は別の集客経路からの申込みで成立しています)。
集客がうまくいかない原因は、当日の内容でも案内文の出来でもなく、開催前のリストにあることがあります。始める前に「このテーマを聞きたい人が、いま連絡できる先に何名いるか」を数えてみてください。数えられないなら、まずそこからです。

条件② 商材の検討期間が長いか
2つ目の条件は、商材が検討に時間のかかる性質かどうかです。
検討期間の長い商材ほど、購入を決める前の情報収集の途中に接点を置く意味が生まれる、と考えられます。比較や社内調整が続く間、ウェビナーは「売り込まれずに学べる場」として機能しやすいためです。逆に、価格や仕様を見ればすぐ決められる商材では、開催の手間に見合わないことがあります。この長短は、商材のジャンルそのものでは決まりません。たとえばSaaSというひとつのジャンルの中でも、無料で試してすぐに決められる低単価のサービスは短い側に、複数部門の調整を経て導入する高単価のサービスは長い側に寄ります。自社の商談が始まってから決まるまでの期間を思い浮かべて、その途中に学びの場が挟まる余地があるかを考えてみてください。
条件③ 続けられる体制があるか
3つ目の条件は、開催を続けられる体制があるかです。
ウェビナーにかかる作業は当日だけではありません。企画に始まり、イベントページや告知文の制作・集客・当日の配信と進行・参加者リストの整理まで続きます。当社が運営を請け負うときも、この一連をひとつの流れとして設計する形です。そして1回の開催で成果を判断するのは早すぎます。テーマや集客のやり方は、回を重ねて直していくものだからです。
続けられるかどうかは、人数の問題とは限りません。作業の一部を外部に任せる選択もあります。
▶ 工数が壁になる場合の選択肢は、以下の記事で解説しています。
🔗 ウェビナー代行の種類と選び方
他のリード獲得施策との使い分け
3つの条件で迷いが残るときは、他の施策と並べて考えると判断しやすくなります。
主な施策を定性で並べると、次のような使い分けになります。
| 施策 | 強み | 気をつける点 |
|---|---|---|
| ウェビナー | 集めた相手と深く話せる | 自社保有のリストの厚みが前提 |
| ホワイトペーパー | 読み手のペースで受け取れる。リストを新しく作る入り口になる | 接点は浅くなりがち |
| 展示会 | 対面の深い接点が作れる | 開催地と時期の制約を受けやすい |
| 広告 | 速く始められる | 届く相手の検討はまだ浅い傾向 |
ここでも軸になるのは、条件①のリストです。リストがすでにあるなら、ウェビナーはその相手との関係を深める場として働きます。リストがまだ薄いなら、ホワイトペーパーや広告でリストを作る施策を先に置くのが自然な順番です。単独で開くウェビナーは「集めた相手と深く話す」施策であって、ゼロから相手を見つける施策ではない、と整理すると使い分けやすくなります。リストの薄さを他社との共催で補う道もありますが、その選び方は形態の記事で扱います。

迷ったら小さく試す
条件を確かめても判断がつかないときは、いちばん小さい形で1回試す方法があります。
当社の企画の目安では、単独開催は企画から開催までが2〜2.5ヶ月と、開催形態の中でいちばん短いとされます。中でも、特定の課題に絞った課題解決型は、少人数でも検討の深い層が集まりやすい型です。大がかりな体制を組む前に、この形で1回開き、手応えを見てから広げるかを決められます。なお、この目安はテーマや商材によって変わる水準です。
▶ 開催形態の選び方は、以下の記事で解説しています。
🔗 単独・共催・カンファレンスの選び方
やらないと決めてよい場合
3つの条件が揃わないなら、やらないと決めるのも正しい判断です。
とくに届けたい相手のリストがなく、作る見込みも立たない場合は、開催しても集客が成立しにくくなります。この状態で無理に開くより、先にリストを作る施策に取り組むほうが、同じ労力で前へ進めるはずです。
自社で開かなくても、ウェビナーという接点を持つ方法はあります。当社が運営するカンファレンスでは、他社からご登壇と告知などの集客協力をいただき、その度合いに応じて当社から参加者との接点を提供する形です。登壇者として他社の主催する場に加わるのであれば、自前のリストや運営体制がなくても、聞き手の前に立てます。
やらない判断は、あきらめではなく順番の判断です。リストと体制が整った段階で、あらためて始めればよいだけです。始めたあとに続けるかどうかを迷う場面でも、同じ考え方が使えます。

▶ 開催後にどう判断するかは、以下の記事で解説しています。
🔗 ウェビナーの結果の見方
まとめ|3つの条件を、始める前に確かめる
ウェビナーの成否は、開催前の条件でほぼ決まります。確かめる条件は3つでした。
- 届けたい相手のリストがあるか:このテーマを聞きたい人が、連絡できる先に何名いるかを数える
- 商材の検討期間が長いか:検討の途中に、学びの場が挟まる余地があるか
- 続けられる体制があるか:企画から参加者リストの整理までの一連の作業を、回を重ねて続けられるか
次のアクション
- 直近で考えているテーマを1つ決め、それを聞きたい人が手持ちのリストに何名いるか数える
- 自社の商談期間を書き出し、その途中にウェビナーが挟まる場面を想像してみる
- 条件が揃っていれば、単独の課題解決型でいちばん小さく計画する
▶ 始めると決めたら、以下の記事で全体の流れを確認できます。
🔗 ウェビナーの始め方と運用のポイント
やる・やらないの判断から入るウェビナー支援
当社フラグアウトでは、ウェビナーを開催するかどうかの判断から支援しています。当社自身でもカンファレンスやウェビナーを年間を通じて企画・運営しており、向き不向きの見立てには実務の裏づけがあるのが強みです。次のようなお悩みをお持ちの方に向いています。
- 周囲が始めているが、自社に合うのか判断できない
- リストが少なく、集客が成立するのか不安がある
- 過去に1回開いたが、続けるべきか分からないままになっている
- 社内にウェビナーの経験者がおらず、体制の組み方が分からない
- やる場合とやらない場合の両方を、根拠を持って社内に説明したい
開催の可否判断から、形態の選定、企画・運営までお引き受けします。支援内容の詳細は資料にまとめています。まずは現状をお聞かせください。
BtoBウェビナーの向き不向きにおけるよくある質問
- Qリストが少なくても、ウェビナーはできますか?
- A
開催はできますが、集客が成立しにくくなります。少ないなりに始めるなら、他社とリストを持ち寄る共催という形もあります。ただし順番は、リストを作る施策を先に置くのが基本です。
- Q何名集まれば成功といえますか?
- A
人数だけで測れる合格ラインはありません。開催形態によって集まる規模の目安が大きく違ううえ、人数が少なくても狙った課題を抱える相手が来ていれば商談にはつながります。
- Q検討期間が短い商材では、意味がありませんか?
- A
新規のリード獲得としては効きにくくなりますが、既存のお客様向けの活用説明など、別の目的では機能することがあります。目的を新規獲得に限らず考えると、使い道が残る場合があります。
- Q体制は何人必要ですか?
- A
人数より、企画から参加者リストの整理までの一連の作業を続けられるかで判断してください。担当が1人でも、作業の一部を外部に任せれば無理なく続く場合があります。
- Qやらないと決めた場合、代わりに何をすべきですか?
- A
リストがないことが理由なら、ホワイトペーパーや広告など、リストを作る施策が先です。他社が主催するイベントに登壇者として参加し、自前の開催なしで聞き手との接点を持つ方法もあります。
- Q一度やってみてから判断するのは、避けるべきですか?
- A
試すこと自体は有効です。ただし大きく始めず、準備の軽い単独開催で1回試してください。詳細は本文「迷ったら小さく試す」セクションを参照してください。
