共催で開くと決めたあと、何をどの順で決めればよいのか。相手の探し方までは分かっても、その先で手が止まることがあります。集客をどう分担するか、参加者の情報を誰が持つのか、獲得したリードをどう分けるのか。どれも当日が近づいてから表に出てきます。
共催の成否を分けるのは、当日の出来よりも前の取り決めです。この記事では、組む相手の見極め方と、開催前に決めておく3つの取り決めを順に説明します。当社が共催ウェビナーやカンファレンスを運営してきた実務が土台です。なお、共催そのものの説明と利点・注意点は、別の記事にまとめています。
▶ 共催とは何か、利点と注意点は、以下の記事で解説しています。
🔗 共催セミナーのメリット・デメリット
この記事でわかること
- 共催の成否が、当日より前のどこで決まるか
- 相手の打診から開催後の分配までの5段階と、全体の期間の目安
- 組む相手を見極める3つの条件
- 開催前に決めておく3つの取り決めと、その決めどころ
- 参加者の情報を扱うときに、どこを確認しておくべきか
- カンファレンス規模へ広げるときに増えること
共催ウェビナーの進め方とは
共催ウェビナーの進め方とは、複数の会社で集客を持ち寄って1回の開催を共同で行うにあたり、相手の選定から集客の分担・参加者情報・リードの分け方までを開催前に決めていく手順のことです。
単独開催との最大の違いは、決めごとの相手が社内だけではなくなる点にあります。自社で完結するなら、後から方針を変えても調整は社内で済みます。共催では、集客の途中で「そこは聞いていない」となった時点で、修正に相手企業の合意が必要です。だからこそ、企画に着手する前に決めておく項目が増えます。
そもそも単独と共催のどちらで開くかを迷っている段階なら、先に開催形態の選び方をご覧ください。
▶ 開催形態の選び方は、以下の記事で解説しています。
🔗 単独・共催・カンファレンスの選び方
共催ウェビナーの全体の流れ|何をどの順で決めるか
進め方を大きく分けると、次の5段階になります。当社の目安では、企画から開催までの想定期間は共催で3〜4ヶ月とされます。単独開催の2〜2.5ヶ月より長いのは、段階2の合意に相手企業との往復が入るためです。
| 順 | 進めること | この記事で扱う場所 |
|---|---|---|
| 1 | 組む相手を決め、打診する | 組む相手をどう決めるか |
| 2 | 企画の趣旨・主催者・役割を合意し、3つの取り決めを文書に残す | 開催前に決めておく3つの取り決め |
| 3 | 告知を始め、各社の経路で集客し、申込数を共有する | 取り決め①(集客の手段は別記事) |
| 4 | 当日の司会・登壇の並び・質疑の担当に沿って運営する | 当日と開催後の段取り |
| 5 | リードを取り決めどおり分け、各社がフォローし、共通の目標で結果を確かめる | 当日と開催後の段取り(フォローの中身・結果の見方は別記事) |
この記事の中心は、段階1と2です。共催で後から困るのは、段階2で決めていなかったことが、段階3以降に表に出たときです。段階ごとに何ヶ月前に何をするかは、相手企業の体制と告知手段で変わるため、ここでは順序と全体の期間にとどめます。

組む相手をどう決めるか
相手選びで見るのは、次の3つです。
- 参加者層が重なるか:互いのリストに、同じ課題を持つ人がいるか
- 商材が競合しないか:同じ予算を取り合う関係だと、当日の話が牽制し合う内容になりやすい
- 集客を分担できるか:告知に使える手段があり、動かせる人がいるか
難しいのは、1つ目と2つ目が両立しにくい点です。参加者層が重なる相手ほど、商材も近くなりやすいためです。同じ層の同じ課題に対して、違う側面から関わっている会社を狙います。たとえば社内の情報共有という課題に対して、片方が仕組みの導入を扱い、もう片方が運用の定着を扱う。そうした組み合わせです。
そのうえで最初に確かめたいのは、1つ目です。相手のリストに人数が多くても、そこにいるのが自社の話を聞きたい層でなければ、集まった参加者は商談につながりません。誰に来てほしいかを自社側で決めてから相手を探すと、判断が速くなります。

▶ 誰に来てほしいかの決め方は、以下の記事で解説しています。
🔗 ウェビナーのターゲット設定
現実的な始め方は、すでに取引や接点のある企業に声をかけることです。互いの業務を知っている相手なら、テーマのすり合わせが早く終わります。初めて組む相手とは、いきなり大きな企画を立てず、1回分の小さな共催から試すほうが安全です。
開催前に決めておく3つの取り決め
相手が決まったら、企画の中身より先に決めておく取り決めが3つあります。集客の分担・参加者情報の扱い・リードの分け方です。どれも、後から決めようとすると利害がぶつかる項目になります。
取り決め① 集客の分担|誰が、どこへ、どれだけ告知するか
1つ目は、誰がどこへ、どれだけ告知するかです。
決めるのは、各社が使う手段と回数の目安、そして告知を出す時期です。片方がメールを3回送り、もう片方が1回で終わると、集客の実態は共催とは呼べない形になります。当社が運営する共催やカンファレンスでは、集客への貢献度に応じて参加者との接点を分配する方式をとっており、誰がどれだけ集めたかを後から数えられる形にしています。
もう1つ確かめておきたいのが、告知先の重なりです。相互に送客する形をとる以上、同じ人に両社から案内が届くことがあります。重複が多いと、見かけの母数は増えても新しい接点は増えません。組む前に、互いのリストの性質をおおまかに突き合わせておくと、集客の見込みが立てやすくなります。
取り決め② 参加者情報|誰の情報になるか、同意をどう取るか
2つ目は、申し込んだ人の情報を誰が持つのかです。
共催では、申込フォームを一方が用意し、もう一方へ参加者の情報を渡す形になることがあります。この扱いは、申込時点でどちらの会社が取得するのかによって変わるものです。
個人情報保護委員会は、複数の事業者が関わる場合の考え方をFAQで示しています。大きく分けると3つの形です。
| 形 | 求められること |
|---|---|
| 各社がそれぞれ取得する | 申込の画面で各社が取得することが分かるようにし、各社が利用目的をあらかじめ明示する |
| 幹事の1社が取得し、他社へ提供する | 本人の同意を取得する |
| 共同利用の形にする | 利用する者の範囲・利用目的・管理責任者などをあらかじめ本人が分かる状態にする |

どの形をとるかで、申込フォームに書くことも、相手企業と交わす取り決めも変わります。
実務として決めておくのは次の3点です。申込フォームにどう書くか。自社のプライバシーポリシーに何を追記するか。相手企業へ渡す範囲はどこまでか。ここは自社の判断だけで進めず、法務や専門家に確認してから固めましょう。本記事は決めどころを示すもので、個別の適法性を判断するものではありません。
取り決め③ リードの分け方|何を決めておけば揉めないか
3つ目は、獲得したリードをどう分けるかです。
分け方そのものは、企業ごとの事情で変わります。ここで示すのは比率ではなく、先に決めておかないと揉める項目です。
| 決めておく項目 | 決めていないと起きること |
|---|---|
| 誰が主催者として表に立つか | 参加者から見た主体が曖昧になり、開催後の連絡がしにくくなる |
| 両社のリストに元からいた人をどう扱うか | 同じ人を二重に数え、成果の見え方が実態とずれる |
| 開催後に誰がいつ連絡するか | 同じ人へ両社から同時期に営業の連絡が届く |
| 各社が何を成果と見るか(共同の目標と各社固有の目標) | 一方は件数、もう一方は商談数を見ており、同じ結果の評価が割れる |
とくに最後の項目は見落とされがちです。会社が違えば追う数字も違います。共通で見る数字と、各社が個別に見る数字を分けておくと、開催後の振り返りが噛み合います。
当日と開催後の段取りも、開催前に決める
当日の進め方と、終わったあとの動きも、企画段階で決めておくものです。
当日については、司会をどちらが担うかと、両社の登壇をどの順に並べるかを決めます。質疑を誰が受けるかも先に決めておきます。登壇の順序は「先に話したほうが有利」と受け取られやすい部分です。テーマの流れで説明できる並びにしておくと、後から不満が出にくくなります。
開催後については、誰がいつ連絡するかと、その内容を先に決めます。参加者から見れば、2社から別々の連絡が同じ日に届くのは唐突です。フォローの中身そのものは、別の記事にまとめています。
▶ 開催後のフォローの設計は、以下の記事で解説しています。
🔗 ウェビナー後のフォローアップ設計
結果をどう読むかも、共催では単独開催と少し違います。集客の一部を相手企業の告知が担うため、開封やクリックといった申込みより前の数字が自社側に残らないことがあります。
▶ 開催後の結果の読み方は、以下の記事で解説しています。
🔗 ウェビナーの結果の見方
カンファレンス規模へ広げるとき
この記事で扱ってきた共催は、2社から6社程度の座組を想定しています。10社以上が登壇するカンファレンス規模へ広げると、決めごとは社数に比例しては増えません。増えるのは、社と社の間の組み合わせです。2社なら1通りだった突き合わせが、6社では15通り、10社では45通りになります。
告知先の重なりの確認も、この組み合わせの数だけ発生します。リードの分け方も、全社共通の考え方を先に置いておかないと、個別の取り決めが積み重なって収拾がつきません。当社の運営では、貢献度に応じて分配する考え方を全体の共通ルールとして先に置き、そのうえで各社との条件を決めています。

大型開催の運営そのものは、別の記事で扱っています。
▶ 大型開催の実務は、以下の記事で解説しています。
🔗 大型カンファレンス運営の実務
まとめ|相手の3条件と、3つの取り決めを先に置く
共催の成否は、当日の出来より前の取り決めで決まります。押さえどころは次のとおりです。
- 相手は3条件で見る:参加者層が重なるか、商材が競合しないか、集客を分担できるか
- 開催前に3つを決める:集客の分担、参加者情報の扱い、リードの分け方
- 当日と開催後も先に決める:司会と登壇順、質疑を誰が受けるか、開催後に誰がいつ連絡するか
次のアクション
- 候補企業を2〜3社書き出し、3条件のどれを満たすかを確かめる
- 自社の申込フォームとプライバシーポリシーを開き、共催時に追記が必要な箇所を洗い出す
- 取り決め③で挙げた4項目を1枚にまとめ、相手企業との最初の打ち合わせに持ち込む
共催ウェビナーの企画・運営支援
当社フラグアウトでは、共催ウェビナーの体制づくりから運営まで支援しています。当社自身でも複数社での共催やカンファレンスを企画・運営しており、集客の分担や参加者情報の取り決めを運営者の立場で設計できるのが強みです。次のようなお悩みをお持ちの方に向いています。
- 共催で開くと決めたが、何から決めればよいか分からない
- 相手企業との役割分担や集客の分担で、話がまとまらない
- 参加者情報の扱いをどう取り決めればよいか判断できない
- リードの分け方で過去に揉めたことがある
- 2社の共催から、複数社の開催へ広げたい
開催体制の設計から集客・当日運営までお引き受けします。支援内容の詳細は資料にまとめています。まずは現状をお聞かせください。
共催ウェビナーの進め方におけるよくある質問
- Q共催の相手は、どのように探せばよいですか?
- A
すでに取引や接点のある企業に声をかけるのが現実的です。参加者層が重なり、商材が競合しないことを先に確かめましょう。まったく接点のない企業へ打診する場合は、互いのリストの性質を早い段階で共有できるかが目安になります。
- Q集客の分担は、均等にすべきですか?
- A
均等である必要はありません。大切なのは、各社が何をどれだけ告知するかを先に決め、後から数えられる形にしておくことです。分担が偏る場合は、その前提でリードの分け方も決めておくと不満が出にくくなります。
- Q参加者の情報は、そのまま相手企業へ渡してよいですか?
- A
申込時点で誰が取得する情報なのかによって、必要な手続きが変わります。申込フォームの記載とプライバシーポリシーの内容を先に確認し、法務や専門家に確認してから進めましょう。詳細は本文「開催前に決めておく3つの取り決め」をご覧ください。
- Qリードの分け方は、比率を決めておくべきですか?
- A
比率より先に決めるべき項目があります。誰が主催者として表に立つか、元から両社のリストにいた人をどう扱うか、開催後に誰がいつ連絡するかです。ここが決まっていれば、比率の話は進めやすくなります。
- Q準備期間はどのくらい見ておけばよいですか?
- A
当社の目安では、共催は企画から開催まで3〜4ヶ月です。相手企業との調整が入るぶん、単独開催より長くなります。テーマや相手の体制によって前後します。
- Q初めての共催で、いきなり複数社と組んでもよいですか?
- A
1社に限る必要はありませんが、最初は少ない社数をおすすめします。社数が増えるほど、告知先の重なりの確認とリードの分け方の合意が組み合わせで増えるためです。まず2〜3社の小さな座組で取り決めの型を作り、そこで得た学びを次の開催に持ち越すほうが進めやすくなります。
