B2BビジネスでもSNSは今や企業活動に欠かせない存在となっています。しかし、B2B企業がB2C企業と同じような感覚でSNSを運用しても、期待した成果は得られません。なぜなら、両者では求められる方向性がまったく異なるからです。

本記事では、B2BとB2CのSNS運用における違いを明らかにしたうえで、B2B企業が取るべき戦略を具体的に解説します。

SNS運用で成果を出したいと考えているB2B企業のご担当者様は、最後までご覧ください。

■ B2BとB2Cを分ける「5つの決定的な違い」【基礎編】

B2B企業のSNS運用が思うように成果につながらない理由のひとつに、「B2Cと同じやり方を採用している」が挙げられます。

しかし、ビジネスの構造や意思決定の流れが異なる以上、SNSで展開すべき戦略も大きく変わります。

ここでは、運用の方向性を見誤らないために押さえておきたい、B2BとB2Cの違いを整理します。

・ターゲットの違い ─ 個人消費者 vs. 企業の意思決定者

SNSで成果を上げるためには、「誰に向けて発信しているのか」を明確にすることが何より大切です。ターゲットが曖昧なままでは投稿の方向性が定まらず、思うようにビジネス成果にはつながりません。

B2Cのターゲットは一般消費者です。感情に訴えるストーリー性のある投稿や、日常に関わる話題、思わずシェアしたくなるようなユニークな内容が好まれます。

共感や楽しさ、驚きといった感覚に働きかけることで反応が得られやすく、フォロワーの拡大や認知向上につながります。

一方でB2Bのターゲットは企業であり、具体的には担当者やマネージャーといった、意思決定に関与する層です。求めているのは、業務の効率化や課題の解決に役立つ情報です。

そのため、プライベートな話題や雑談的な投稿よりも、自社の製品やサービスが実際にどう使われているのか、どんな成果を出しているのかを紹介するような内容のほうが効果的です。

・購買プロセスの違い ─ 衝動買い vs. 長期検討

B2Cでは、消費者が自分の判断だけで購入を決めることが多く、購買までのスピードも非常に早い傾向があります。気になる商品をSNSの投稿で見かけたその場で、即決して購入に至るケースも珍しくありません。

しかし、B2Bはそう簡単にはいきません。企業側はまず自社の課題を整理し、必要な情報を集め、仕様や予算、納期などを細かく検討します。

その後、複数のベンダーを比較し、社内の稟議を通してようやく発注に至ります。このプロセスには、早くても数週間、長ければ数か月かかるのが一般的です。

つまりB2BにおけるSNSの役割は「今すぐ売ること」ではなく、「信頼を築き、検討の土台に載せてもらうこと」です。

・コンテンツ戦略の違い ─ エンタメ性 vs. 専門性・信頼性

B2CのSNSでは、投稿を見たその瞬間に心を動かせるかどうかが成果を左右します。

例えばInstagramではビジュアル重視の動画や画像、X(旧Twitter)ではユニークな企画や言葉のセンスなど、感覚に訴える工夫が効果的です。

対してB2Bでは、「この会社は信頼できるか」「業務に役立つ情報があるか」といった視点で評価されます。そのため、業界の動向や具体的な事例、課題解決につながるノウハウなど、専門性と実用性のある情報が望ましいです。

・成果指標の違い ─ 認知拡大 vs. リード獲得

SNS運用を成功させるためには、KGI(重要目標達成指標)とKPI(重要業績評価指標)を設定することが欠かせません。具体的な数字を見ずに運用を続けても、何を成果とすべきか判断できず、改善にもつながらないでしょう。

B2Cでは「どれだけ認知を広げられたか」が評価の軸になることが多く、いわゆるバズったかどうかが成功の判断基準とされることもあります。

KPIとしては、フォロワー数、インプレッション(表示回数)、エンゲージメント率(いいね・シェア・コメントなど)が代表的です。

B2Bのマーケティング施策における目標の一つは「リードの獲得」です。

SNS上で興味を持ってもらい、その後ホワイトペーパーのダウンロード、ウェビナーへの参加、メールマガジンの登録といった具体的なアクションにどれだけつなげられたかが評価のポイントになります。

・関係構築の違い ─ 短期購入促進 vs. 長期パートナーシップ

B2Cでは購入の意思決定が比較的早いため、SNSではキャンペーンや割引など購買を促す投稿が多く活用されています。

投稿を見たその瞬間に「欲しい」と思わせ、すぐに購入につなげることが目的であり、顧客との継続的な関係づくりはそれほど重視されません。

一方、B2Bでは検討から契約に至るまでに時間がかかり、複数の関係者による合意や社内手続きが必要になります。そのため、すぐに購入を促すような内容では十分な効果は得られません。

重要なのは、定期的な情報発信を通じて信頼を積み重ね、「この会社なら相談できそう」と感じてもらうことです。フォローやメルマガ登録といった継続的な接点を持ちながら、少しずつ関係を深めていくアプローチが理想です。

■B2B企業アカウントがとるべき「実践的SNS運用戦略」【施策編】

ここまで説明してきたように、B2BにおけるSNSは、見込み顧客との信頼関係を育てていくための「育成チャネル」として捉える必要があります。

投稿ひとつひとつに目的を持たせ、信頼の蓄積からリード獲得へとつなげる導線を設計することが重要です。

ここからは、B2B企業アカウントが実際にどのような行動をとればよいのか、具体的な施策をご紹介します。

・専門性コンテンツの一元展開 ─ コラム/ホワイトペーパー連動

B2BのSNSでは、専門性の高い情報を発信することで、企業としての信頼をアピールする必要があります。とはいえ、SNS専用のコンテンツを毎回ゼロから作るのは大きな負担でしょう。

そこで活用したいのが、ホワイトペーパーやコラム、営業資料、メルマガです。既存コンテンツをもとに、ポイントを絞って簡潔にまとめた投稿を作ることで、効率的に発信ができます。

つい「詳しくはWebで」とURLリンクを貼りたくなりますが、できる限りSNS内で完結する形にし、投稿自体で価値を感じてもらえる内容にすることが大切です。まずはSNS内で「読む価値がある」と感じてもらい、フォロワーを少しずつ獲得していきましょう。

・資産活用でリード獲得 ─ ホワイトペーパー × ウェビナー施策

フォロワーがある程度増えてきたら、次のステップとしてリード獲得を目指します。ただし、いきなり資料請求やお問い合わせを求めるのはハードルが高く、離脱されやすくなります。

まずは、ウェビナーの案内やアーカイブ動画の紹介など、気軽にアクセスできるコンテンツを通じて接点を強化しましょう。

例えばInstagramであれば、プロフィールに設置したリンクを起点に、Webページの閲覧 → フォームの確認 → 資料請求や問い合わせと、自然な流れでコンバージョン(CV)につなげていきます。

つまり、段階的に関心を深めるよう設計できているかどうかが、SNS運用の成功を左右すると言えます。

・投稿を広告を使って宣伝

SNSは多くのユーザーにリーチできますが、B2BではB2Cのようにバズを狙うのが難しく、投稿だけで多くの人に届くケースは限られています。特に新しいコンテンツや重点施策は、少額でも広告予算をつけて、露出を広げましょう。

例えば月5,000円程度からスタートして、どの投稿が反応を得やすいかを数値で分析するだけでも、今後のテーマ選定やコンテンツの方向性に役立ちます。

とはいえ、広告運用にはプラットフォームごとのルールや配信設計などの専門知識が求められます。はじめて広告を活用する企業やWeb担当者が在籍していない企業はプロの支援を受けたほうがスムーズです。

株式会社フラグアウトでは、BtoB企業に特化したSNSアカウント運用支援サービスを提供しています。企画設計から月次レポートの作成、レポートに基づく改善施策の提案までをカバーしています。運用の成果を高めたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

・業界キーパーソンとのエンゲージメント強化

企業アカウントの運用では一方的な情報発信に偏りがちですが、SNSは交流を前提としたメディアです。特にB2Bにおいては、「何を発信しているか」だけでなく、「誰と関わっているか」が企業の信頼性やブランド認知に大きな影響を与えます。

業界のキーパーソン(著名人や有識者)とSNS上で関係を築き、コメントやシェアなどの相互コミュニケーションを増やしましょう。アカウントの信頼性が高まり、フォロワー外の層にも自然と情報が広がりやすくなります。

具体的には、業界イベントでの発言を引用して投稿したり、同業他社や取引先の投稿に反応したりといった行動が効果的です。

■まとめ

SNS運用といっても、B2BとB2Cでは目的も進め方も異なります。

B2Bでは、専門性のある情報を発信しながら信頼関係を築き、見込み顧客を段階的に育てていくことが重要です。そのためには、「まず知ってもらう → 興味を持ってもらう → 行動につなげる」といった流れを意識した設計が欠かせません。

もし「何を発信すればよいかわからない」「続けているのに成果が見えない」と感じているなら、SNS運用に強い会社に相談することをお勧めします。

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