生成AIが書いた原稿を受け取り、どこまで直させてよいか判断に迷う。全部を書き直させるべきか、自分で手を入れるべきか。指示の出し方に迷って、結局「全体的にもう少し」と返してしまう。

迷いの原因は、判断する基準を先に決めていないことにあります。基準がないと、指摘が感想になり、受け取った側は何をどう直せばよいか分かりません。この記事で扱うのは、差し戻す・自分で直す・捨てるの判断基準です。指示の書き方と、修正版をどう見るかまでを、当社の制作現場での運用に沿って説明します。

この記事でわかること

  • 差し戻しが初稿だけでなく、修正版でも繰り返される理由
  • 基準を先に決める理由と、即座に差し戻す線の引き方
  • 差し戻す・自分で直す・捨てて作り直すの3つの選択肢
  • 「全体的に」ではなく、該当箇所と理由で指示を出す方法
  • 修正版が本当に良くなったかを見分ける方法

AI原稿の差し戻しとは

差し戻しとは、受け取った原稿を差し戻す・自分で直す・捨てて作り直すのどれで扱うかを、基準に照らして判断する作業です。初稿を突き返すことだけを指すのではありません。

AIは、自分の書いた原稿の間違いを自分では見つけきれません。だから受け取る側の判断が必要です。ここで見落とされがちなのが、判断は初稿の一度きりではないという点です。修正版を受け取るたびに、同じ判断を繰り返します。直したものが本当に良くなったか、それとも指摘された箇所だけを最小限に繕っただけか。それを見分ける目こそ、2回目以降に必要なものです。当社では、2回目以降の採点に、初回とは別の見方を足しています。

この記事で最初に説明するのは、判断の基準を先に決める理由です。次に、3つの選択肢で原稿をどう振り分け、指示をどう書くかを示します。最後に、修正版をどう見るかを説明します。

基準を先に決める

差し戻すかどうかは、原稿を受け取る前に基準を決めておきます。基準が後出しになると、指摘が感想になり、担当者ごとにぶれるためです。

「なんとなく物足りない」という感覚だけで差し戻すと、直す側は何を直せばよいか分かりません。合格ラインと、点数に関わらず戻す線を、先に言葉にしておきます。

▶ 公開前に見る観点の全体像は、以下の記事で解説しています。

🔗 公開前の品質チェックの観点と順序

観点は、書き直す側と共有する

基準は、採点する側だけが持っていても働きません。書き直す側と同じものを見ている必要があります。

当社が採点する人に渡すのは、書き手が使ったのと同じ承認済みの構成案と、同じ決まりごとです。差し戻すときは、採点の結果と直す指示をそのまま書き手に渡します。採点役だけが知っている基準で判断すると、書き手は当てずっぽうで直すほかありません。同じ基準書を挟むだけで、直しの精度が変わります。

合格ラインと、即差し戻しの線

基準には、2種類の線を引きます。合計点の合格ラインと、点数に関わらず戻す重大な問題の線です。

当社では、7つの項目を100点満点で採点し、合格ラインを90点に置いています。90点に届かなければ、書き手に戻して直したうえで再び採点する流れです。これとは別に、点数に関わらず即座に戻す線もあります。数値の公開ルールに反する、裏の取れない数値や主張がある、守るべき決まりに違反している。この3つは、ほかの点がどれだけ高くても公開しません。加えて、合計が合格ラインを超えていても、どれか1つの項目だけが極端に低い場合は要注意として印をつけます。合計だけを見ると、1つの軸が崩れた原稿が通り抜けてしまうためです。

合格ラインと、点数に関わらず差し戻す線の2種類を示す図

▶ 事実の裏の取り方は、以下の記事で解説しています。

🔗 AI記事のファクトチェックの手順

判断の3つの選択肢

原稿への対応は、3つの選択肢から選びます。差し戻す、自分で直す、捨てて作り直すの3つです。

問題の種類によって、戻すべきか手を入れるべきかが変わります。何でも差し戻せばよいわけでも、何でも自分で直せばよいわけでもありません。

原稿の問題を差し戻す・自分で直す・捨てて作り直すに振り分けるフロー

選択肢① 差し戻す|独自性・構成の問題

記事の核に関わる問題は、書いた側に戻します。

独自性が足りない、構成の筋が通っていない。こうした土台の問題は、指示を添えて書き手に戻すのが確実です。土台は、部分的に手を入れて直るものではありません。どこをどう変えるかの方針を示し、書き直してもらう形が向いています。

選択肢② 自分で直す|表現の軽微な修正

語句の言い換え程度の軽い修正は、戻すより自分で直すほうが速くなります。

言い回しの調整や、細かな誤りの修正は、往復させるより手元で直すほうが速いはずです。戻すか自分で直すかの線は、直しに判断が要るかどうかで引きます。語を1つ置き換えるだけなら手元で直し、どの語に替えるかで記事の主張が変わるなら書き手に戻すのが目安です。ただし、確かめる場と直す場は分けるのが原則です。事実を確認した人がその場で本文を書き換えると、確かめる目と直す手が同じになり、見落としが増えます。

▶ 表現の整え方は、以下の記事で解説しています。

🔗 AI記事の文章の直し方

選択肢③ 捨てて作り直す|素材が足りない

支える素材そのものが足りない場合は、書き直しでは解決しません。

見出しを支える情報が手元にないなら、いくら書き直させても一般論で埋まるだけです。独自性が足りないだけなら差し戻して書き直せますが、素材そのものがなければ書き直しても埋まりません。見分け方は、その見出しを支える具体的な情報を1つでも挙げられるかどうかです。挙げられないなら、素材を集める段階に戻ります。当社では、書く前に使ってよい素材を記録にまとめ、その記録に引用のない経験や実例は直す対象としています。素材がなければ、そもそも書かせない形にしているわけです。

▶ 素材の準備は、以下の記事で解説しています。

🔗 生成AI記事制作に渡す一次情報の準備

また、構成の段階で承認の基準を持っておくと、素材不足を早く見つけられます。

▶ 構成の段階での承認は、以下の記事で解説しています。

🔗 生成AIを使った記事構成案の作り方

差し戻し指示の書き方

差し戻すときの指示は、該当箇所と理由をセットにして書きます。「全体的に」では、どこを直すか伝わらないためです。

指示の質が、直しの質を決めます。あいまいな指示は、あいまいな直しを返します。

該当箇所を引用して、理由を添える

指示には、直してほしい箇所をそのまま引用し、なぜ直すのかの理由を添えます。

「独自性が足りない」とだけ言われても、書き手はどの段落のことか分かりません。当社の採点では、減点した箇所の引用と、その直し方の指示を必ず両方書きます。引用のない指摘は、直しようがないためです。

優先順位をつけて、上位に絞る

指摘は全部を一度に返さず、優先順位をつけて上位に絞ります。

10か所の指摘を一度に返すと、どこから手をつけるか迷い、重い問題が後回しになりがちです。当社では、優先度の高い指示を上位3件にまとめて返します。重いものから順に直し、片づいたら次を返す。この形のほうが、往復は増えても確実に良くなります。

「厚くして」と言わない

分量に関する指示は、「厚くして」ではなく、何の情報が足りないかで出します。

「もっと厚くして」と返すと、同じ内容の言い換えで字数が増えます。読者にとっては、同じ話を二度読まされるだけです。足りないのは分量ではなく情報のはずなので、「この主張を支える具体例が足りない」というように、足りない中身を具体的に指定します。なお、想定した字数はあくまで目安です。無理に増やすことも、無理に削ることもしません。重複さえなければ、想定を超えていても問題にはなりません。

伝わらない差し戻し指示と、該当箇所と理由を添えた指示の比較図

修正版をどう見るか|2回目以降の判断

修正版は、直した箇所だけでなく、記事全体が良くなったかで見ます。指摘された箇所を繕っただけの直しが、実際に起きるためです。

初稿を通すより、修正版を見極めるほうが難しいことがあります。点数が上がっても、記事が良くなったとは限らないからです。

何を足したかを、説明させる

修正版には、直した内容の説明を一緒に出させます。

当社では、2回目以降の採点で、項目ごとに「前回」「今回」「差分」「何を足したか」を書かせます。目的は、記事が良くなって点が上がったのか、それとも採点する側を納得させる書き方になっただけかを見分けるためです。説明できない修正は、直したつもりで別の場所を崩していることがあります。

情報が増えたのか、量が増えただけか

差分の説明が「厚くした」「詳しく書いた」だけなら、量が増えただけの可能性を疑います。

とくに独自性の項目で点が上がったときは、一次情報が増えたのか、一般論が厚くなっただけかを分けて見るべきです。分量が増えると、読んだ印象は良くなります。ところが印象と中身は別です。新しい情報が加わっていないなら、点をつけ直す理由はありません。

通過が目的になっていないか

採点を通すこと自体が目的になっていないかを、最後に見ます。

当社でも、採点を通すために書いた推測が、次の事実確認で重い差し戻しになった例がありました。同じ指摘への対応でも、一方は点を保ち、もう一方は点が下がって保留になった例もあります。さらに、一度は合格とした原稿が、あとでまとめて見直したときに字数配分の偏りや出典の不足で崩れたこともありました。だから当社は、一度の合格判定を最後にせず、まとめて見直す機会をもう1つ置いています。修正が、必ずしも改善とは限らないためです。

修正版で情報が増えた場合と量が増えただけの場合を見分ける比較図

まとめ|基準を決め、3つの選択肢で判断し、修正版は差分で見る

AI原稿の差し戻しで要になるのは、基準を先に決めておくことです。基準がないと、通過が目的の書き直しを生みます。押さえどころは次の4点です。

  1. 基準を先に決める:合格ラインと、点数に関わらず戻す線を、受け取る前に定める
  2. 3つの選択肢で判断する:土台の問題は差し戻す、軽い修正は自分で直す、素材不足は作り直す
  3. 指示は該当箇所と理由で出す:優先度の高いものを上位に絞り、「厚くして」と言わない
  4. 修正版は差分で見る:何を足したかを説明させ、量が増えただけの直しを見分ける

次のアクション

  • 合格ラインと、点数に関わらず戻す線を、言葉にして書き出す
  • 直近の差し戻し指示を見返し、該当箇所を引用できているか確かめる
  • 修正版を受け取るとき、何を足したかの説明を一緒に求める

差し戻しの基準を持つBtoB記事制作の支援

当社フラグアウトでは、この記事で述べた差し戻しの基準を自社の制作で使い、判断に迷った場面をそのつど基準へ書き足しながら記事制作をお引き受けしています。次のようなお悩みをお持ちの方に向いています。

  • 生成AIの原稿を、どこまで直させてよいか判断に迷う
  • レビューが感想になり、担当者ごとに指摘がぶれる
  • 「全体的に」としか指示できず、直しが往復する
  • 修正版が本当に良くなったか、見分けられない
  • 差し戻しの往復が多く、公開までに時間がかかる

どこで戻し、どこで自分が手を入れるかの線は、往復のたびに引き直しています。その基準を通した記事を、構成から記事化までお届けします。まずは現状をお聞かせください。

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AI原稿の差し戻しにおけるよくある質問

Q
差し戻しの基準は、いつ決めればよいですか?
Q
差し戻すか、自分で直すかは、どう決めますか?
Q
指示は、どう書けば伝わりますか?
Q
「厚くして」と指示してはいけませんか?
Q
修正版は、何を見ればよいですか?
Q
点数が上がれば、公開してよいですか?