生成AIに構成案を依頼すると、見出しはきれいに並びます。数も十分で、体裁としては構成案になっています。ところが「書き始めたら、二つ目の見出しで手が止まった」。書くだけの素材が手元にないことに、そこで気づくわけです。
見出しが埋まることと、書けることは別の話です。この記事では、AIに任せてよい範囲と人が決める範囲を分けたうえで、承認の段階で何を見れば手戻りを防げるかを整理します。
この記事でわかること
- AIに任せてよい範囲と、人が決めなければならない範囲の線引き
- 記事全体を貫く軸の決め方と、軸がない構成との違い
- BtoBで複数の関与者に読まれる前提での承認の観点
- 検索意図の整理から字数配分までの5つのステップ
- 自社の既存記事との食い合いを確かめる方法
- 承認を通したあとに起きる失敗と、その避け方
任せてよい範囲と、人が決める範囲
構成案づくりでAIを使うとき、最初に決めるのは分担です。ここが曖昧なままだと、判断まで委ねることになります。
考え方はひとつです。AIは案を出し、人は採否を決めます。

AIが得意なこと|案出しと整理
検索意図を分解する、見出しの案を数多く出す、出した案を分類する。この種の作業はAIに向いています。人が一人で考えるより幅が出ますし、切り口の偏りも減るでしょう。
競合記事の論点を整理する作業も任せられます。何が書かれているかを一覧にするところまでは、人がやっても同じ結果になりやすい部分です。
任せるときのこつは、一案に絞らせないことにあります。「構成案を作って」と頼むと一つの完成形が返ってきますが、切り口の違う複数案を求めたほうが、次の判断がしやすくなります。
人が決めること|検索意図・素材の実在・見出しの採否
人が決めるのは3つです。なお本記事で「素材」と書くときは、記事の主張を支える情報のことを指します。広告のクリエイティブを指す「素材」ではありません。
まず検索意図の確定。誰が何を知りたくて検索したのかは、事業と読者を知っている側にしか決められません。
次に素材が実在するかの判定。ここが要であり、委ねてはいけない部分でもあります。AIに「この見出しを支える素材はありますか」と尋ねると、たいてい「あります」と返ってきます。自社に何があるかを知らないまま答えているので、この回答には根拠がありません。素材の有無を自己申告させると、構成の前提が崩れます。
最後に見出しの採否。案の中からどれを使い、どれを落とすか。この判断には、自社の素材と読者の関心の両方が要ります。
字数配分|AIが案を出し、人が承認する
字数の割り振りは、AIに案を出させて構いません。人は決める側ではなく、確かめる側に立ちます。
見るのは一点だけです。主張の重さに応じて配れているか。均等に割られた構成表が返ってきたら、そこは判断が入っていない合図だと考えてよいでしょう。読者にとって重い論点と、補足で済む論点は、同じ分量にはなりません。
記事を貫く軸を1つ決める|見出しの寄せ集めにしない
構成案とは見出しの一覧ではなく、記事全体をひとつの筋で通すための設計図です。
見出しが揃っていても、それらを貫く軸がなければ、記事は論点の列挙にしかなりません。読み終えたときに「何の話だったか」が残らない記事は、たいていここが抜けています。
軸とは、複数のセクションを同じ観点で串刺しにするものです。たとえば「定義→計測→施策→診断」という並びで進めるなら、どの見出しもその流れのどこかに位置づくでしょう。あるいは「3つのレベルに分けて考える」という軸を置けば、各セクションはそのレベルのどれかを扱う形です。
軸があると、書く側にも読む側にも効きます。書く側は「この見出しは軸のどこか」を確かめられるので、脱線に気づけます。読む側は次に何が来るか予想できるので、拾い読みしても迷いません。
軸があるかどうかの見分け方
出てきた構成案に軸があるかは、簡単な確かめ方で判断できます。見出しを上から読んで、次に何が来るか予想できるかを見てください。
軸が通っていれば、定義の次には計測が来るだろう、といった見当がつきます。予想が立たず、どの見出しも独立した話題に見えるなら、それは論点の一覧です。並び順を入れ替えても違和感がない構成も、同じ状態を示しています。
もうひとつの確かめ方は、各見出しを一文で言い直してみることです。言い直した文が同じ問いに答えているなら軸があります。ばらばらの問いに答えているなら、軸は入っていません。
軸は人が決める
AIに軸まで任せるのは難しいところです。案は出せますが、その軸が自社の素材で支えられるかどうかは、何を持っているかを知らないと決められません。軸を決めるのは人の仕事だと考えたほうが、あとの作業が楽になります。
軸の候補は、素材の側から探すこともできるでしょう。自社にある素材を並べ、それらが共通して答えている問いは何かを見ると、支えられる軸が浮かびます。先に軸を決めて素材を探す順より、確実です。
軸を決めたら、構成表に書いて終わりにしないことも大切になります。各見出しがその軸をどう使うかまで書き込んでおけば、執筆の段階で軸が消えるのを防げるでしょう。

読むのは1人ではない|承認で何を見るか
BtoBの記事は、一人の読者に向けて完結しません。ここがBtoCとの大きな違いで、承認の観点にも影響します。
担当者・上長・決裁者で知りたいことが違う
検索してたどり着くのは、多くの場合は担当者です。ところが担当者が集めた情報は、そのまま上長に共有され、社内の比較検討にも使われます。
三者が知りたいことは同じではありません。担当者は具体的な手順を見ます。上長は判断の根拠を、決裁者は他の選択肢との違いを求めるでしょう。同じ記事がこの三者に読まれる前提で構成を組めば、扱う論点の幅も変わってくるはずです。
この違いは、構成の組み方にそのまま影響します。手順だけを厚く書いた記事は、担当者には役立つ一方、上長に共有された時点で判断の材料が足りません。逆に判断の材料だけを並べると、担当者が明日から動けなくなります。同じ記事の中に両方を置く必要があるわけです。
置き方としては、見出しを役割で分ける方法があります。手順を扱うセクションと、判断の根拠や他の選択肢との違いを扱うセクションを、それぞれ立てる形です。分けておけば、読み手は自分に必要な箇所へ直接進めます。
構成の段階で「どの見出しが誰の疑問に答えるのか」を割り振っておくと、後から足すより自然に収まるでしょう。書き上げてから上長向けの記述を差し込むと、流れを崩す形になりがちです。
見出しごとに素材を名指しできるか
承認の第一基準はこれです。各見出しについて、それを支える素材を具体的に名指しできるかどうか。
「実績データ」のような漠然とした言い方では足りません。どの記録の、いつの、どの部分を使うのかまで指せる状態を求めます。名指しできない見出しは、書けない見出しだからです。
名指しできない見出しが残った場合、選択肢は二つあります。素材を足すか、その見出しを落とすか。構成のまま先に進めるという選択肢はありません。ここで通すと、執筆の段階で一般論を書いて埋めることになります。
拾い読みされても筋が通るか
BtoBの記事は、最初から最後まで読まれるとは限りません。社内で共有されたあとは、要点だけを拾って判断されることのほうが多いでしょう。
そこで見るのは、各見出しとその直下の数行だけを追ったときに、話が成立するかどうかです。見出しが内容を表しておらず、本文を読まないと分からない構成だと、拾い読みでは伝わりません。
ただし独立させすぎると、今度は通読したときに流れが切れてしまいます。見出しごとに完結した文章が並ぶだけでは、記事全体として何を言いたいのかが残りません。
兼ね合いの取り方はひとつです。軸を通したうえで、各セクションを自立させます。軸が全体をつないでいれば、個々のセクションが独立していても順に読んだときの流れは保たれるでしょう。逆に軸がないまま自立性だけを高めると、独立した記事が並んでいるような読み心地になります。

手順|5つのステップ
ここまでの考え方を、実際の手順に落とします。
①検索意図を整理する
そのキーワードで検索する人を思い浮かべます。知りたいこと・やりたいこと・不安に思っていることを分けて書き出します。
三つに分けるのは、答え方が違うからです。知りたいことには説明で、やりたいことには手順で、不安には判断の材料で答えます。混ぜたまま構成に入ると、どれにも中途半端な記事になりかねません。
②競合が埋めている論点と空白を見る
上位に出ている記事を5本ほど確認し、どの論点が扱われているかを一覧にします。ここまではAIに任せられる作業です。
見るのは、どの記事も書いていない領域です。構成の独自性はここで決まります。全員が同じ論点を並べている中で、自社だけが持っている素材で埋められる箇所を探しましょう。
一覧にするときは、論点を行に、記事を列に置くと抜けが見えやすくなります。すべての列に印が付いている行は、書かないと不足に見える論点です。印がまったく無い行が、空白の候補になります。
ただし空白がすべて機会とは限りません。誰も書いていないのは、需要がないからという場合もあるでしょう。空白を見つけたら、それが読者の関心と重なるかを確かめてください。
③見出し案を複数出す
軸に沿って、見出しの案を出します。ここでも一案に絞らせず、切り口の違う案を並べさせます。
出てきた案は、そのまま採用しません。順序を入れ替える、粒度を揃える、重複を統合するといった編集が入ります。案はたたき台であって、完成品ではないためです。
④素材と突き合わせる
見出しごとに、支える素材を名指ししていきます。名指しできない見出しには印を付け、素材を足すか落とすかの判断に回します。
名指しの粒度が重要になる場面です。「実績データ」では足りません。どの記録の、いつの、どの部分かまで指せる状態を求めてください。粒度が粗いまま通すと、執筆の段階で「思っていた数字が無い」と分かります。
この作業を後回しにすれば、書き始めてから戻ることになるでしょう。構成案の中で完結させておきたい部分です。
⑤字数を配分する
見出しごとの想定字数を割り振ります。主張の重さで配り、均等には割りません。
配分は目安であって、実測をこの数字に合わせる必要はありません。ただし大きく外れた箇所は、中身を読み直す合図として使えます。
自社記事との食い合いを確かめる|スラッグで判断しない
手順②が他社を見る作業なら、こちらは自社を見る作業です。同じ検索意図を狙う記事が自社内にあると、検索エンジンから見て評価が分散します。
確かめ方で注意したいのは、スラッグ名だけで判断しないことです。URLの文字列は記事の中身を正確には表しません。似た名前でも扱っている論点が違うことがありますし、名前が違っても中身が重なる場合もあるでしょう。
当社でも、記憶していたスラッグが実際のものと違っていた例がありました。記憶や一覧の表記に頼ると、こうした取り違えが起こりえます。
確認するのは、隣接する既存記事の実際のタイトルと見出しです。見出しまで見ると、スラッグからは分からない切り口の重なりが見えてきます。
照合先も一か所ではありません。公開済みの記事、まだ書いていない候補のリスト、そして進行中の企画。この三つを見ておかないと、書き終えたあとで重複が判明します。当社では一か所しか確認せずに起票した結果、手戻りになったことがありました。
重なりが見つかったときは、新規で書くのではなく既存記事の改稿で対応できないかを先に考えます。部分的な重なりであれば、特化する条件を明記したうえで新規にする判断もありえます。

▶ 見出しを支える素材の集め方は、以下の記事で解説しています。
承認を通しても起きる失敗
構成が承認されても、次の4つは起こります。あらかじめ知っておくと、承認の段階で防げるものもあります。
素材を名指しできたが、量が足りない。 「運用実績を使う」と名指しできても、1本の記事を支えるだけの厚みがあるとは限りません。名指しできることと、十分であることは別です。裏付けの強さを「強・中・なし」の三段階で見て、「なし」が残る構成では進みません。
軸を決めたのに、見出しに出ていない。 構成表の欄には軸が書いてあるのに、H2の言葉を並べると軸が見えない状態です。読者は構成表を見ないので、見出しに現れていない軸は存在しないのと同じになります。承認のときは構成表ではなく、見出しだけを抜き出して並べて読んでみてください。それで軸が見えなければ、読者にも見えません。
空白を埋めたが、誰も知りたがっていない。 競合が書いていない領域を見つけて構成に組み込んだものの、そもそも関心の外だったという例です。当社でも、空白ではあるが自社の実績と噛み合わないテーマを、構成の段階で見送ったことがありました。空白を見つけた時点で、その論点を検索する人が思い浮かぶかを確かめておくと、この失敗は減ります。
字数配分を、そのまま通してしまう。 AIが出した配分は、均等に近い形になりがちです。内容を見ずに承認すると、補足で済む論点と記事の核が同じ分量で並びます。読み手は分量から重要度を読み取るため、配分の偏りがないこと自体が伝達の失敗になりかねません。承認のときは、いちばん重い主張にいちばん多く配られているかを確かめてください。
まとめ|分担を決め、軸を通し、素材と突き合わせる
生成AIに構成案をつくらせると見出しは埋まりますが、書けるだけの素材があるかは別問題です。押さえる順番は次のとおりです。
- 分担を決める:AIは案を出し、人は採否を決める。素材が実在するかの判定は委ねない
- 軸を通す:記事全体を貫く軸を1つ決め、各見出しがそれをどう使うかまで書く
- 手順を回す:検索意図の整理→競合の空白→見出し案→素材との突き合わせ→字数配分
- 承認で確かめる:見出しごとに素材を名指しできるか、拾い読みで筋が通るか
次のアクション
- 手元の構成案を開き、各見出しを支える素材を名指しできるか確かめる
- 名指しできない見出しに印を付け、素材を足すか落とすかを決める
- その構成案に軸があるか、軸がH2の言葉に出ているかを見る
▶ 書き上げたあとの表現の直し方は、以下の記事で解説しています。
▶ 生成AI時代の検索での見え方は、以下の記事で全体を整理しています。
構成の設計と承認を含む記事制作支援
当社フラグアウトでは、BtoB企業のコンテンツ制作を、構成の設計から支援しています。次のようなお悩みをお持ちの方に向いています。
- 生成AIで構成案は出せるが、書き始めると素材が足りない
- 記事の質が担当者によってばらつく
- 社内で回したときに、担当者以外に伝わらない
- 既存記事との重なりを、確かめる方法が決まっていない
- 構成の承認基準がなく、レビューが感想になっている
構成の設計から承認の基準づくり、記事化までを一貫してお引き受けします。まずは現状をお聞かせください。
BtoB記事の構成案づくりにおけるよくある質問
- Q構成案の段階で、どこまで細かく決めるべきですか。
- A
見出しと、その見出しを支える素材の名指しまでです。本文の言い回しまで決める必要はありませんが、素材が決まっていない状態で執筆に進むと、一般論で埋めることになります。
- Q軸が思いつかない場合はどうすればよいですか。
- A
素材の側から考える方法がひとつです。手元にある素材を並べ、それらが共通して答えている問いは何かを探してみてください。軸を先に決めて素材を探すより、確実に支えられる軸が見つかりやすくなります。
- Q競合の空白は、どのくらい調べれば十分ですか。
- A
上位5本ほどの論点を一覧にすれば、共通して扱われている領域と、抜けている領域は見えてきます。数を増やすより、扱われている論点を漏れなく拾うほうが効きます。
- QAIが出した見出しを、そのまま使ってはいけませんか。
- A
使えるものもありますが、そのまま採用するのは避けたほうが安全です。順序や粒度、既存記事との重なりは、案の段階では考慮されていません。編集を前提としたたたき台として扱ってください。
- Q承認は誰がすればよいですか。
- A
何を持っているかを知っている人が関わる形が確実です。構成の良し悪しだけを見るレビューでは、素材の有無を判断できません。記事の目的を決めた人と、素材を持っている人の両方が見る形をおすすめします。
- Q既存記事との重なりが見つかったら、必ず書き直すべきですか。
- A
重なりの程度によります。全面的に重なるなら既存記事の改稿で対応し、部分的であれば特化する条件を明記したうえで新規にする判断もありえます。判断の理由を記録に残しておくと、次に同じテーマが出たときに迷いません。
