「生成AIで書いた原稿が、どこか不自然に感じる」「ただ、どこがどう不自然なのかを説明できない」。この状態のまま直そうとすると、感覚で語を入れ替えるだけになり、直したはずの原稿がまだ落ち着きません。
不自然さは6つの型に分かれます。型が分かれば、どこを見ればよいかも決まってきます。この記事で扱うのは、6つの型とそれぞれの直し方、そして直す順番です。
この記事でわかること
- 「AIっぽさ」を語・文末・文・文章の4つの層で捉える見方
- 6つの型それぞれの見分け方と直し方
- 当社の検査が実際に落としている語
- 技法として残してよい表現と、直すべき癖の違い
- BtoBで信頼を落とす、断定の範囲の外し方
- 直す順番と、直したあとに壊れるもの
「AIっぽい」とは何を指すのか|6つの型を4つの層に分ける
AIっぽさとは、書き手の癖ではなく特定の表現パターンが繰り返されている状態を指します。
読み手が引っかかるのは、内容よりも表現の側です。ただし表現といっても幅があり、語の選び方の問題と、文の組み立て方の問題は別物になります。当社では、どの層で起きているかによって6つの型に分けています。
| 層 | 型 | 何が起きているか |
|---|---|---|
| 語 | ① 大げさな言い回し | 根拠のない強い語が使われる |
| 語 | ② 話し言葉の混入 | 口語がそのまま文書に入る |
| 文末 | ③ 文体の揺れ | 敬体の中に常体が混じる |
| 文末 | ④ 文末の単調さ | 同じ形の文末が続く |
| 文 | ⑤ 演出的な文体 | 文の作りが芝居がかる |
| 文章 | ⑥ 同じことの言い直し | 同じ内容が形を変えて繰り返される |
層で分ける理由は、直し方が違うからです。語の問題は置き換えで解けますが、文末や文の作りは書き直しになります。文章全体の問題であれば、構成に戻る必要も出てきます。
以下、層の順に見ていきましょう。

型① 大げさな言い回し|稟議で止まる表現
語のレベルで最初に出るのが、根拠のない強い語です。
BtoBの記事は、担当者が読んで終わりではありません。社内で共有され、上長や決裁者の目にも触れます。根拠のない強さは、そこで疑いを招きます。
実際に検出している語
当社の原稿検査が落としている語を挙げます。
「最も」「実は」「まさに」「定石」「鉄則」「真逆」「〜の核心」「と言えるでしょう」「いずれにせよ」「のは事実です」といった語は使いません。
これらに共通するのは、主張の強さだけがあって根拠がない点です。「最も」のような語で強さだけを足しても、何を基準にした比較なのかは示されていません。読み手が社内で説明する場面を想像すると、この種の表現は使いにくいと分かるでしょう。
同じ問いかけの繰り返しも、この層に含まれるものです。「〜ではないでしょうか」を何度も置くと、読み手には答えを避けているように映ります。
置き換えの型
置き換えるとき、強さを落とすだけでは足りません。
「まさに」のような語を削って「最適かもしれません」に言い換えるだけでは、主張が消えて何も言っていない文になります。読み手にとっては、弱い断定より情報のない文のほうが困ります。
とる方法は2つです。根拠を添えるか、範囲を狭めるか。
| 避ける言い回し | 置き換えの方向 |
|---|---|
| 「最も」で強める | → 〜という条件では効果が出やすくなります(範囲を狭める) |
| 「まさに」で強める | → 〜の場合には向いています。〜だからです(根拠を添える) |
| 「定石」と言い切る | → 多くの場合はこの順で進めます(一般化の程度を示す) |
主張を残したまま、その主張が成り立つ条件を明示する。この形にすると、読み手は自社に当てはまるかどうかを自分で判断できます。

型② 話し言葉の混入|BtoB文書での基準
同じ語のレベルで、口語がそのまま入り込む場合もあるでしょう。
当社が置き換え対象にしている語には、「要ります」「ちょっと」「けっこう」「やっぱり」「ちゃんと」「いろんな」「どんどん」「刺さる」「せっかく」「とりあえず」「ざっくり」といった表現があります。文頭に置かれる「なので」「だから」「でも」も対象です。
置き換えの方向は、おおむね決まっています。
| 話し言葉 | 書き言葉 |
|---|---|
| 「要ります」「要りません」 | 必要です/必要ありません |
| 「ちょっと」「けっこう」「すごく」 | 少し/かなり/非常に |
| 「やっぱり」「ちゃんと」 | やはり/確実に |
| 「いろんな」「どんどん」 | さまざまな/次々に |
| 「刺さる」 | 響く/届く |
| 「ざっくり」「とりあえず」 | 大まかに/まずは |
この型は、表を作っておけば機械的に処理できます。判断が要らない分、6つの型の中では扱いが軽い部類でしょう。表さえあれば、書く人が変わっても結果は揃います。
ただし語によっては文脈で決まります。たとえば「投げる」は口語寄りですが、「丸投げ」は定着した慣用句なので問題ありません。当社の検査も、直前の文字を見て「丸投げ」を除外する作りにしています。
一律に置き換える運用にすると、こうした正当な用法まで潰れます。表は作りつつ、例外を持たせておくほうが実用的です。
型③ 文体の揺れ|敬体の中の常体
ここから文末の層に入ります。
問題になるのは、敬体で始まり敬体で終わる段落の、途中の1文だけが常体になっている場合です。これは技法ではなく癖で、読み手には「そろっていない」としか映りません。
一方で、常体が技法として機能する位置もあります。当社が残してよいと判断しているのは次の4つです。
- リードの問題提起(段落の先頭)
- 強調のための言い切り
- 列挙の体言止め(直後に中身が続くもの)
- 読み手への問いかけ
区別の目安は、その常体に言い切る理由があるかどうかです。理由があれば残し、なければ敬体にそろえます。
一律に潰す運用は避けたほうがよいでしょう。当社でも、素朴に検出したところ大半が技法にあたる箇所でした。そのため検査では、段落の途中で前後が敬体なのに1文だけ常体、という型だけを拾う設計にしています。
なお、対句になっている箇所は例外です。「ひとつは〜。もうひとつは〜です」のように片方だけ体言止めになっている場合は、技法ではなく不揃いなのでそろえます。
型④ 文末の単調さ|「です」「ます」が続く
同じ文末の層で、逆方向に起きるのがこの型です。
同型の文末が3つ続くと、機械が書いた印象が強まります。当社の検査は、文末3連続を不合格として落とす設定です。
この型が知られていない理由のひとつは、型③を直した副作用として現れる点でしょう。常体の言い切りが文末に変化をつけていた場合、それを敬体にそろえた瞬間に「です」「ます」が並びます。片方を直すともう片方が出るため、型③と型④はセットで見てください。
加えて、当社が本記事群を書いた際には、常体の修正を伴わない書き下ろしの段階でも繰り返し検出されました。敬体で書き進めると、同型の文末が自然に並びます。直した副作用としてだけでなく、書きながら出るものだと考えたほうが実態に近いでしょう。
直し方は、常体に戻すことではありません。敬体のまま文末を散らします。
- 〜のです
- 〜必要があります
- 〜になります
- 〜と考えられます
- 〜でしょう
体言止めに逃げると型③に戻ります。敬体の範囲内で語尾の形を変えるのが、この型の解き方です。
型⑤ 演出的な文体|格言調と決め台詞
文の作りの層です。語を1つずつ見ても引っかからないのに、文全体が芝居がかって見える型がここに入ります。
言い切りと体言止めの決め台詞
「問うべきは、〇〇です」のような格言調の言い切りが代表です。体言止めで締める決め台詞も同じ扱いになります。
型①が語の問題だったのに対し、こちらは文の作りの問題です。使われている語はどれも普通なので、語のリストでは捕まりません。読み手が受け取るのは、内容ではなく書き手の身振りのほうです。
BtoBの文書では、この身振りが浮きます。読み手が求めているのは判断の材料であって、余韻ではありません。事実と手順を普通の文で書けば足ります。
大げさな比喩
「関門」「武器」「羅針盤」「魔法の杖」といった比喩は避けます。
比喩そのものが悪いわけではなく、説明の代わりに使われるのが問題です。「〜は羅針盤になります」と書いても、何がどう役に立つのかは伝わりません。比喩を外して、機能をそのまま書いたほうが短く済むでしょう。
見分け方としては、その比喩を消しても意味が通るかを試します。通るなら、最初から不要だったことになります。
型⑥ 同じことの言い直し|深掘りとの違い
文章全体の層です。個々の文には問題がないのに、読み進めると同じ話を何度も聞かされている感覚が残ります。
言い直しは3つに分かれます。
構造的な言い直しは、表の項目と、それを解説する段落がほぼ同じ内容になっているものです。表を読めば分かることを、下でもう一度書いています。
概念の言い直しは、定義の段落で説明した仕組みを、語彙を変えてもう一度説明するものです。「もう少し具体的に見ると」で始まる段落が、実は同じことを言い換えているだけ、という形で出ます。
隣接段落の同趣旨は、連続する2つの段落が同じ趣旨を述べているものです。
このうち構造的なものは、文字の重なりが大きいため機械でも拾えます。一方、概念の言い直しと隣接段落の同趣旨は、語彙が違うので検出できません。読む工程が拾う層になります。
ここで注意したいのが、深掘りとの違いです。表で一覧を示し、本文で掘り下げるのは正しい構成で、言い直しではありません。疑うべきなのは、掘り下げになっていないものです。
見分ける問いはひとつだけあります。2回目に新しい情報が入っているか。入っていなければ言い直し、入っていれば深掘りです。当社の記事でも、同じ仕組みの説明が何度か繰り返され、最後のものにはほとんど新しい情報が入っていなかった例がありました。
BtoB特有の注意|断定の範囲を外すと信頼を落とす
6つの型とは別に、BtoBで見ておきたい観点があります。確からしさの表現です。
検証できない一般傾向を、事実のように言い切っていないか。「すぐに見抜かれます」「従来と変わりました」といった書き方は、どれも根拠を示さないまま断定しています。読み手が社内で使う場面を考えると、この種の文は根拠を問われて止まります。
書き分けの方法は2つです。
自社の経験だと明示する。 「当社の運用では」と前置きすれば、範囲が限定されます。ただし実在する事実に限ってください。
確度表現を使う。 「〜しかねません」「〜つつあります」「〜と考えられます」「〜ことがあります」のように、断定の度合いを下げます。
記事の中核となる主張は、論証と実例で支えたうえで断定して構いません。問題になるのは、支えのない周辺の記述が同じ強さで書かれている場合です。読み手から見ると、どこが支えられていてどこがそうでないかが分からなくなります。
▶ 主張を支える素材の集め方と渡し方は、以下の記事で解説しています。
直す順番と、直したあとに壊れるもの
型が分かっても、直す順番を間違えると手戻りが出ます。
順番|独自性→構成→事実→表現
表現は最後に直すものです。順番は独自性から始まり、構成・事実・表現と続きます。
先に表現を整えると、そのあとで中身を変えたときに整えた分が無駄になります。独自性が足りずに書き直しになれば、表現の修正はすべてやり直しです。構成を入れ替えれば、段落のつながりも変わります。
表現の修正は、中身が固まってから着手する。この順を守るだけで、直す回数が減ります。

副作用|語だけ替える・技法を潰す・型④が出る
直したあとに壊れるものは3つです。
語だけ置換して文意が崩れる。 型①で触れたとおり、強い語を弱い語に置き換えるだけでは主張が消えてしまいます。根拠を添えるか範囲を狭めるかまで含めて、はじめて置き換えが完了します。
技法まで潰す。 型③で残してよいとした常体まで直してしまう例です。検査の指摘をすべて修正すると、この状態になります。指摘は候補であって、判断は書き手が持ちます。
型③を直して型④が出る。 前述のとおりです。型③の修正後は、文末の並びを見直す作業がセットになります。

まとめ|6つの型を4つの層で読む
AIで書いた文章の不自然さは、感覚ではなく型で捉えると直せます。
| 層 | 型 | 直し方の要点 |
|---|---|---|
| 語 | ① 大げさな言い回し | 強さを落とさず、根拠を添えるか範囲を狭める |
| 語 | ② 話し言葉の混入 | 置き換え表で処理。例外を持たせる |
| 文末 | ③ 文体の揺れ | 言い切る理由があるかで残すか決める |
| 文末 | ④ 文末の単調さ | 敬体のまま語尾を散らす |
| 文 | ⑤ 演出的な文体 | 比喩を外し、機能をそのまま書く |
| 文章 | ⑥ 同じことの言い直し | 2回目に新情報があるかで判断する |
次のアクション
- 手元の原稿を1本選び、6つの型のどれが出ているかを分ける
- 型③と型④は同時に見る。片方を直すともう片方が出るため
- 表現に手を付ける前に、中身が固まっているかを確かめる
▶ 書き始める前の構成の組み立て方は、以下の記事で解説しています。
▶ 生成AI時代の検索での見え方は、以下の記事で全体を整理しています。
表現の検査までを含む記事制作支援
当社フラグアウトでは、BtoB企業のコンテンツ制作を、表現の検査まで含めて支援しています。次のようなお悩みをお持ちの方に向いています。
- 生成AIで書いた原稿の、どこを直せばよいか判断がつかない
- 修正の基準が担当者ごとに違い、指摘が感想になっている
- 直したはずの原稿が、まだ落ち着かない
- 表現のチェックに時間がかかり、本数が伸びない
- 社内で回したときに、文章の質を問われる
原稿の検査から修正の基準づくりまでお引き受けします。まずは現状をお聞かせください。
AI記事の表現の直し方におけるよくある質問
- Q6つの型は、どれから直せばよいですか。
- A
型の順ではなく、中身が固まってから表現に着手する順を守ってください。表現の中では、語の層(型①②)は機械的に処理できるので先に済ませ、文末や文の作り(型③④⑤)に時間を使う配分が現実的です。
- Q検査ツールの指摘は、すべて直すべきですか。
- A
指摘は候補として扱ってください。とくに型③には、技法として残してよい常体が含まれます。すべて直すと、書き手の意図した強調まで消えます。
- Q型④の文末3連続は、どこまで気にすべきですか。
- A
3つ続いた時点で読み手には単調に映ります。ただし箇条書きや表の中は対象外で構いません。地の文が続く箇所を優先して見てください。
- Q型②の置き換え表は、どうやって作ればよいですか。
- A
最初から網羅しようとせず、自社の原稿で実際に出た語から始めてください。使われていない語をリストに足しても、検査の精度は上がりません。あわせて、除外する語も同時に決めておきます。定着した慣用句まで置き換えると、かえって不自然な文になります。
- Q言い直しと深掘りの区別がつきません。
- A
2回目の記述に新しい情報が入っているかを見てください。入っていなければ言い直しです。表で一覧を示し、本文で条件や例外を足すのは深掘りにあたります。
- Q生成AIに「AIっぽくないように書いて」と指示すれば済みませんか。
- A
語の層はある程度反映されますが、文末の並びや文章全体の言い直しは指示だけでは制御しきれません。書き上がったあとに層ごとに見る工程を置くほうが確実です。
