この記事でわかること
- リード獲得フォーム広告の仕組みと、通常のサイト誘導型広告との違い
- どちらの型から始めるべきかの使い分け基準
- 配信前に決めておく3つの設計(オファー・フォーム項目・ターゲティング)
- 設定の流れの全体像と、公式ヘルプで確認すべき箇所
- 獲得したリードを商談につなげる処理の設計
LinkedIn広告には、ユーザーがLinkedInの画面から出ずに連絡先を送信できる「リード獲得フォーム」があります。LPを用意しなくてもリードを獲得できる仕組みですが、フォームを付ければ成果が出るというものではありません。BtoBでは、集まった連絡先がそのまま商談につながるとは限りません。誰に届いたか、そのあとどう扱うかで結果が変わります。この記事は、BtoB企業のマーケティング・事業企画の担当者に向けたものです。操作手順の細部ではなく、成果を左右する設計と獲得後の処理を中心に解説します。
リード獲得フォーム広告とは
リード獲得フォーム広告とは、広告をタップしたユーザーにLinkedIn内でフォームを表示し、その場で連絡先を送信してもらう広告形式のことです。フォームにはLinkedInに登録されたビジネス情報(氏名・会社名・メールアドレスなど)が自動で入力されるため、ユーザーは数回のタップで送信まで進めます。
当社では、LinkedIn広告のリード獲得を次の2パターンで整理しています。
| パターン | 流れ | リード情報の入り方 |
|---|---|---|
| サイト誘導型 | 広告→自社サイト・LPへ遷移→フォーム入力 | 自社サイトのフォーム経由 |
| リード獲得フォーム型 | 広告→LinkedIn内でフォーム表示→送信 | 登録済みビジネス情報が自動で紐付く |
表に現れない部分を補うと、送信後にはサンクスメッセージが表示され、資料のURLなどをその場で案内できます。ユーザーは入力済みの内容を確かめて送信するだけで、遷移も手入力も発生しません。
フォーム型の持ち味は、この遷移と手入力という2つの離脱ポイントをなくせることです。一方で、リード情報はLinkedIn側にたまるため、取り出しと後処理の設計が別途必要になります(この点は後半で扱います)。

LinkedInにこの形式がある背景を押さえておくと、機能の意味が理解しやすくなります。LinkedInはビジネス目的で使うSNSのため、登録情報として正確な会社名・役職・業種が入っている割合が高い媒体です。この情報の正確さが、自動入力の実用度を支えています。他のSNSにも似た形式はありますが、登録情報の性質が違うため、フォーム自動入力で得られるリードの質には差が出やすいというのが実務の感覚です。
使い所として代表的なのは、資料請求・ウェビナー登録・イベント誘致・製品カタログの配布・比較表の請求といった「連絡先と引き換えに何かを渡す」型のオファーです。逆に、じっくり読んでから連絡してほしい高単価サービスの検討層には、遷移してLPで説明を読ませる方が向く場面もあります。BtoBでよくある比較検討層と初回接触層のどちらを狙うかは、フォーム型を選ぶかどうかの分かれ目になります。
▶ LinkedIn広告の基礎(特徴・費用・始め方)は、以下の記事で解説しています。
サイト誘導型との使い分け
どちらを使うかは、自社の受け皿の状態で決めるのが実務的です。フォーム型が常に優れているわけではありません。
- フォーム型から始めた方がよい場合:訴求に合う専用LPがまだない。LPの改善に手が回らない。まず資料請求などのリードを取りながら勝ち訴求を探したい
- サイト誘導型が向く場合:サービスの説明をじっくり読ませてから問い合わせにつなげたい。LPの品質と計測体制が整っている。サイト上の行動データを取りたい
- 併用する場合:資料請求はフォーム型で広く受け、比較検討層向けの誘導はLPで受けるというように、オファーの深さで分ける形が扱いやすくなります
補足として、この2型は排他ではありません。同じキャンペーン内で両方を並走させ、オファーの深さや読者の検討段階で流量を配分する形も現実的です。「フォーム型で幅広くリードを取りながら、深い検討層はLPで受ける」という設計は運用しやすい形になります。始めは片方で走らせ、慣れてから並走に切り替える段階的な進め方も選択肢のひとつです。
実務で判断に迷いやすいのは、既存LPの品質が「まあまあ」の状態のときです。改善すれば使えそうだが、そのままだとフォーム送信の直行に見劣りする、というような状態も少なくありません。この場合の考え方はシンプルです。まずフォーム型でリードを取り始めて機会損失を減らします。そのあいだにLPを整え、整い次第サイト誘導型を並走させるという順序が扱いやすくなるのです。この順序なら、待ちの時間を減らしつつ、両型を活かす体制に着地できます。
判断に迷うときは、「いまの自社LPは、広告の約束に直接応えるページになっているか」を先に見てください。なっていないなら、LPを作り直すまでの間をフォーム型でつなぐ選択が現実的です。
始める前に決める3つの設計
フォーム型の成果は、配信ボタンを押す前の3つの設計でほぼ方向が決まります。

設計①:オファー(何と引き換えに連絡先をもらうか)
フォームで最初に目に入るのは、オファーの見出しと説明です。検討が顕在化していない層に連絡先を出してもらうには、ホワイトペーパーやサービス資料など、受け取る価値が明確なCVコンテンツが必要になります。「お問い合わせはこちら」だけのフォームは、フォーム型にしても送信されにくくなります。
▶ CVコンテンツの定番であるホワイトペーパーの作り方・活用は、以下の記事で解説しています。
設計②:フォーム項目(自動入力を活かす絞り込み)
LinkedInの公式ヘルプでは、フォーム作成時にフォーム名・言語・オファーの見出しと詳細・プライバシーポリシーのURLとテキストを設定します(出典:LinkedInマーケティングソリューションズヘルプ「リード獲得フォームを作成する」)。
項目設計の考え方はシンプルで、自動入力される項目を軸にし、手入力を求める項目を最小限にすることです。氏名・会社名・メールアドレスは登録情報から自動で入ります。そこに手入力の質問を重ねるほど、フォーム型の持ち味である「数タップで完了」が失われていきます。足すとしても、課題感や検討状況の選択式1問程度にとどめてください。
設計③:ターゲティング(属性で絞るか、リストで狙うか)
LinkedInはビジネス特化のSNSで、会社名・業種・従業員規模・役職・職種・スキルといった仕事の情報を軸にターゲティングできます。この属性の細かさが、対象職種を狙い撃ちしたいBtoBのフォーム広告と噛み合う部分です。加えて、自社が保有する企業リスト・担当者リストをアップロードして配信するリストターゲティングにも対応しています。ターゲット企業への集中配信や、商談化に至らなかったリードの掘り起こしに使える方式です。
- 属性ターゲティング:新規リードを広く獲りにいく標準の使い方
- リストターゲティング:狙う企業が決まっているABM型(ターゲット企業を個別に定めて攻めるやり方)の配信や、休眠リードの再アプローチ
この噛み合いは、当社が支援した配信でも数字に出ています。従業員数500名以上の製造業向けITソリューションで、ホワイトペーパー配布をリスティング広告からLinkedInのリード獲得フォームに切り替えました。狙った層が占める割合(ターゲット含有率)は14.2%から42.9%へ、約3倍になりました。ターゲットリード1件あたりの獲得単価も約30万円から約5万円へ下がっています。単一事例のため同じ結果を保証するものではありませんが、属性で絞れる媒体を選ぶ意味はここにあります。
▶ ターゲット企業を絞った広告配信の設計は、以下の記事で解説しています。
設定の流れ(5ステップの全体像)
画面操作の細部は公式ヘルプが正確なので、ここでは全体の流れと迷いやすい点だけを押さえます。
- キャンペーンの目的を「リードジェネレーション」で作成する:アカウント構成は「どう評価するか」で分けます。配信目的やターゲット別にキャンペーングループを分けておくと、後の効果検証がしやすくなります
- リード獲得フォームを作成する:オファーの見出し・詳細・プライバシーポリシー・項目を設定(設計①②をそのまま反映)
- 広告を作成し、フォームを紐付ける:広告文・バナーとフォームの内容を一致させます
- サンクスメッセージと資料の受け渡しを設定する:送信後に何が起きるか(資料URLの案内など)まで作り込みます
- テスト送信で確認してから配信を開始する:自分でフォームを送信し、リードデータの記録と資料の到達を確かめます
なお、課金はクリック単価またはインプレッション単価で、リード単価での購入はできません(出典:LinkedInマーケティングソリューションズヘルプ「リード獲得フォームを作成する – ベストプラクティス」)。
成果を出す運用のポイント
配信後の成果は、フォームそのものより手前のクリエイティブで差がつきます。
- 広告とフォームの一貫性:広告文が約束した内容と、フォームのオファーを一致させます。公式ヘルプでもベストプラクティスとして挙げられている基本です。例えば「◯◯のチェックリストを配布」という広告なら、フォームの見出しも同じ資料名で受けます。広告で触れていない内容をフォームで初出しする形は、不信感につながりかねません
- 送信率を固有の観測点にする:フォーム型では「フォームが開かれた数に対して、どれだけ送信されたか」を見られます。開かれているのに送信されない場合は、オファーの魅力か項目数に課題がある合図です
- クリエイティブは複数本で比較する:同じ配信先でも、クリエイティブによってクリック率には差が出ます。訴求を変えた2〜3本を同時に走らせ、勝ちパターンに寄せていきます
- 改善は切り分けてから:成果が出ないときは、表示回数(配信設計)→クリック率(クリエイティブ)→送信率(オファー・項目数)のどこで止まっているかを特定してから手を打ちます
配信を始めた後の判断は、指標ごとの意味を区別しておくとぶれません。表示回数はターゲティングと予算配分の指標、クリック率はクリエイティブの指標、送信率はオファーと項目数の指標。この3層を分けて見るだけで、どこに手を打つべきかの判断がずいぶん早くなります。全体の成果数だけを追うと、原因の切り分けが後手に回りやすいのが実務の傾向です。

検証のリズムも設計に含めておくと運用が続きます。週次で数字を見て、月次で構成を見直す設計が基本です。短すぎるサイクルでは統計的な意味が出にくく、長すぎると学びが遅れます。当社が推奨しているのは、少なくとも配信開始から2週間はクリエイティブに手を入れず、そこから週次で1本ずつ差し替えていく形です。慣れないうちは、この程度の慎重さでもよい判断ができます。
▶ LinkedIn広告の運用改善の進め方は、以下の記事で解説しています。
獲得後のリード処理を先に決めておく
フォーム型で見落とされやすいのが、獲得後の処理です。リード情報はLinkedInの管理画面にたまるため、放置すればそこで止まります。
- 取り出し方を決める:管理画面からのダウンロードを定期運用にするか、MA・CRMとの連携で自動取り込みにするかを配信前に決めておきます
- 取り出しの頻度を固定する:手動ダウンロードで運用する場合は、週1回など取り出す曜日を決めて習慣にします。取り出し忘れは、フォーム型で起きやすい事故の一つです
- 接触は早く:フォーム送信者は、その瞬間はオファーに関心を持っていますが、一般に時間が経つほど記憶は薄れていく傾向があります。資料の自動送付と、送付後の追いかけの段取りをセットで用意しておくことをおすすめします
- 引き渡し基準を決める:全件を営業に渡すのではなく、どの状態で渡すかを先に営業側と合意しておきます。基準の例は「課題感の回答あり」「対象業種・役職に合致」などです。基準があるだけで、獲得したリードは放置されにくくなります
取り出したリードは、そのままでは営業には渡せません。最低限セットで持ち込むべき情報は3点。オファーの種類、選んだ選択肢、経由した広告です。この3点があれば、営業側の初回接触が組み立てやすくなります。一方、氏名とメールだけを渡す場合、営業は文脈なしで話しかけることになります。結果として、初回の応答率が落ちがちです。フォームで得られる自動入力の項目に、選択式の1問を足しておく設計は、この引き渡しの場面で生きてきます。
接触の速さと定型化も、フォーム型で成果を分ける要素です。フォーム送信の直後にお礼メールと資料URLを自動送付する。翌営業日までに営業から一報を入れる。1週間後に再度接触する。この3つの動きを型として持っておくと、担当者の忙しさに左右されず、リードが冷めきる前の対応ができます。手作業で毎回考えていると、ここが崩れやすい部分になります。

まとめ|フォームは入口、成果は設計で決まる
リード獲得フォーム広告は、遷移と手入力の離脱を減らせる有効な入口です。ただし成果は、オファー・項目・ターゲティングの事前設計と、獲得後の処理まで含めた流れの設計で決まります。
- 使い分け:受け皿(LP)の状態で選ぶ。迷うならフォーム型でつなぎ、LPは並行して整える
- 3つの設計:価値あるオファー/自動入力を活かした最小項目/属性とリストの使い分け
- 獲得後:取り出し・接触スピード・引き渡し基準を配信前に決める
次のアクション
- いまのLPが広告の約束に応えられているかを確かめ、フォーム型かサイト誘導型かを決める
- オファーにできるCVコンテンツ(資料など)を1つ用意する
- 獲得後の取り出し方と引き渡し基準を営業側と合意してから配信を始める
LinkedIn広告運用の設計支援
当社フラグアウトでは、LinkedIn広告を含むBtoB企業のSNS広告運用を設計から改善まで支援しています。次のようなお悩みをお持ちの方に向いています。
- 「LinkedIn広告を始めたいが、フォーム型とLP型のどちらがよいか判断できない」
- 「フォームは作ったが、送信がほとんど発生しない」
- 「オファーにできる資料がない」
- 「獲得したリードの処理が仕組み化できていない」
- 「ターゲティングの設計に自信がない」
ターゲット設計・クリエイティブ制作・フォーム設計・獲得後の流れづくりまで、貴社の体制に合わせてサポートします。
LinkedInリード獲得フォーム広告におけるよくある質問
- Qリード獲得フォーム広告とサイト誘導型は、どちらの成果が良いですか?
- A
一概には言えません。受け皿となるLPの品質・計測体制・オファーの深さによって向き不向きが変わります。専用LPがない段階ではフォーム型から始める方が立ち上がりは早くなります。(詳細は本文「サイト誘導型との使い分け」セクションを参照)
- Qフォームの項目は何を聞くべきですか?
- A
自動入力される氏名・会社名・メールアドレスを軸にし、手入力は課題感などの選択式1問程度にとどめることをおすすめします。項目を増やすほど送信率は下がりやすくなります。
- Qオファーには何を用意すればよいですか?
- A
ホワイトペーパー・チェックリスト・比較資料など、検討前の読者にも受け取る価値が明確なCVコンテンツが基本です。問い合わせや商談予約だけをオファーにすると送信されにくくなります。(詳細は本文「始める前に決める3つの設計」セクションを参照)
- Q獲得したリードはどこで確認できますか?
- A
LinkedInのキャンペーンマネージャーからダウンロードできます。定期ダウンロードの運用か、MA・CRM連携での自動取り込みかを、配信前に決めておくことをおすすめします。
- QBtoBでもリードの質は確保できますか?
- A
LinkedInは役職・職種・会社規模など仕事の情報でターゲティングできるため、対象を絞った配信がしやすい媒体です。フォームの質問1問で検討状況を聞き、引き渡し基準と組み合わせると質の管理がしやすくなります。
- Q操作手順の詳細はどこで確認すればよいですか?
- A
画面仕様は更新されるため、フォーム作成・編集の操作はLinkedIn公式ヘルプ(マーケティングソリューションズヘルプ)を参照してください。本記事は設計と運用の考え方に絞っています。(詳細は本文「設定の流れ(5ステップの全体像)」セクションを参照)