現代ではあらゆる広告手段が登場し、広告を実施する企業側も選定が難しくなっています。このコラムでは、BtoB広告の基礎から整理し、種類・選定方法・進め方といったBtoB広告実施における応用まで網羅的に解説いたします。
BtoB広告とは
BtoB広告の定義と特徴
BtoB広告とは、ビジネス間での取引(Business to Business)において、商品やサービスを提供する企業側が、相手企業に向けて宣伝・販促を目的に広告を行うことを指します。
自社商品やサービスの宣伝や販売促進だけでなく、情報提供や知名度向上などの目的も持っています。広告の主なターゲットが企業であるため、自社商品やサービスの販売単価が高く、購入者の意思決定に時間がかかることがあります。そのため、リードジェネレーションやリテンションを目的とした広告が多くなっています。
BtoB広告とBtoC広告の違い
BtoB広告とBtoC(Business to Consumer)広告の最大の違いは、“ターゲットの対象となる顧客”と“購買行動のプロセス”が異なることです。
BtoB広告は企業同士の取引に特化した広告であり、ビジネスマンや経営者をターゲットにした広告が多くなっています。一方、BtoC広告は、個人消費者をターゲットにした広告であり、広告の内容やメディアの選択も異なってきます。また、購買行動にも差があり、BtoB広告は、商品やサービスを購入するために、複数の担当者の承認が必要な場合があることも違いの一つです。
BtoB広告の種類
業界専門誌や業界Webメディアによる広告
業界専門誌や業界Webメディアに掲載される広告は、ターゲットとする業界のプロフェッショナルにアプローチできるため、効果的な手法とされています。また、広告主が信頼性の高い情報発信源として認知されることで、ブランディングにもつながります。一方、最低出稿金額が高額になることが多いです。
セミナー登壇や展示会出展による広告
セミナー登壇や展示会へ出展をすることで、ターゲットとする業界の専門家に直接アプローチできます。特に展示会では、多数の来場者に向けて自社の製品やサービスをアピールすることができるため、知名度の向上や新規顧客獲得に効果的な手法とされています。一方、展示会は会期前、会期中、会期後と準備における時間が取られます。
メールマーケティングやメール広告
メールマーケティングは、自社が保有するメールアドレスリストに対して、情報やプロモーションを配信することで顧客との関係を深める手法です。BtoBの場合、購買行動プロセスが複雑で商材も高額なこともあり、購買に至るまで顧客との長期的な関係を築くことが重要なため、メールマーケティングは積極的に活用されています。メール広告は業界Webメディアの会員アドレスリストに対して、自社の広告を配信してもらうことを指します。こちらは外部の会員アドレスリストを活用させてもらうことから有料での出稿となります。
SNS広告
SNS広告は、FacebookやLinkedInなどのSNSを活用した広告手法です。SNSはBtoB市場でも一般化しており、専門家や業界関係者が情報収集や交流をする場として利用されています。それらの利用者を細かくセグメントして広告を配信できることがSNS広告の特徴であり、人気の理由の一つです。
リスティング広告
リスティング広告は、Google、Yahoo、Bingなどの検索エンジンの検索結果画面に表示される広告のことです。BtoB市場では、BtoCと異なる一つ一つのキーワードの検索ボリューム自体は大きくありません。しかしながら、購買検討段階を踏まえながら特定のキーワードに対して競合他社との上位表示を目指すことで、新規見込み顧客獲得につなげることができます。
記事広告
記事広告は、自社の商品やサービスに関連する記事を制作し、それを媒体に掲載する広告のことです。読者にとっても有益な情報提供をしながら、自然な形で自社の商品やサービスを紹介することができます。記事の内容が充実していれば、読者から信頼も得られ、企業のブランディングにも役立ちます。また、SEO効果も期待できるため、広告効果も高いとされています。
BtoB広告を選ぶ際のポイント
BtoB広告は前述の通り、業界専門誌やビジネス系Webサイトへの広告掲載、展示会への参加やセミナー・ウェビナーの開催、SNS広告や検索連動(リスティング)型といった運用型のデジタル広告まで多様な広告手法がありますが、正しく広告手法を選定しないと期待した効果が得られない可能性があります。BtoB広告を選ぶ際には、以下のポイントに注意することが重要です。
ターゲットとのマッチング度合い(ターゲット含有率)
BtoB広告は、企業同士の取引を促進するための広告です。そのため、まずターゲットとのマッチング度合いが高いことが重要です。自社が取り扱っている商品・サービスが属するカテゴリに関心を持っている企業や、自社の商品・サービスを必要としている企業をターゲットにすることで、ターゲットになりにくい企業担当者へのアプローチが低減され、より効果的な広告効果が期待できます。
属性データが公開されている場合は、ぜひ、自社のターゲット属性がどれだけ含有されていて、どれだけリーチできるかという試算は立てておきましょう。
コンテンツの質と適切性
次のポイントはコンテンツの質と適切性です。広告に掲載するコンテンツが、ターゲットとのマッチングが高く、適切であることは非常に重要です。仮にターゲットとのマッチング度合いが高くても、広告配信されるコンテンツがターゲットが興味を持つ内容でなければ、効果を最大限得ることができません。具体的には、比較検討段階層向けに、情報収集層向けのコンテンツを配信したり、逆に情報収集層向けに比較検討層向けのコンテンツを配信することはマッチングが低い状態です。
また、クリエイティブを目立たせるためにもデザインやコピーなどの質は重要です。適切なコンテンツを作成・選ぶことで、広告の効果を最大化することができます。
効果測定の可能性
BtoB広告を選ぶ際には、効果測定の可能性も重要なポイントです。BtoB広告は、単にアクセス数やクリック数を重視するだけではなく、リードや見込み客の獲得数、実際の成約数など、具体的な数字で評価する必要があります。そのため、効果測定のための取り組みができるかどうかを確認することが大切です。
広告費用と費用対効果
BtoB広告を選ぶ際には、広告費用の見積もりも重要なポイントです。BtoB広告は、取引相手となる企業担当者向けに取り組むため、BtoC広告よりも費用が高くなることがあります。そのため、広告費用を事前に把握しておくことが、広告選定の際には必要です。また、広告費用に見合う効果が得られるかどうかを判断するために、広告費用と効果のバランスも重要です。
BtoB広告活用の進め方
前章の「BtoB広告を選ぶ際のポイント」にも記載した内容を踏まえ、BtoB広告活用における基本的な進め方をこの章で述べます。
目的を明確にする
BtoB広告に限った話ではないですが、何かを進める前には、どのような目的を達成したいのかを明確にすることが重要です。目的が明確であれば、そのために必要な戦略や手段が見えてくるため、無駄な工数や費用を削減し、効果的な広告活用が可能になります。
ターゲットとペルソナを把握して設定する
ターゲットの属性やニーズを正確に把握し、ペルソナを設定することが大切です。ターゲットとする見込み客の課題やニーズを理解し、その課題を解決するためのアプローチを考えましょう。無闇に広告を実施するのは禁物です。
広告手段を選定する
適切な広告媒体を選定することも、BtoB広告の成功には欠かせません。ターゲットにアプローチできるかどうかはもちろん、媒体の特性や広告を見る方の状態、広告が掲載される場所などを踏まえて、最適な広告手法を選定しましょう。また、運用が自社で必要な場合な広告手段に関しては、自社で行うか、外注先に委託するかも合わせて検討が必要です。
費用対効果を想定したシュミレーションを作成する
BtoB広告施策を行う際は、手持ちのデータからできる限り費用対効果を算出しておきましょう。どの企業も限られた予算の中で取り組む必要があるため、あらゆる種類の広告からいくつかに絞ることと、それぞれの広告手段にかけるある程度の予算割合を決めておく必要があります。その目安となるシミレーションが必要になります。
コンテンツを制作する
BtoB広告のコンテンツは、商品やサービスの特徴やメリットを正確に伝え、ターゲットの課題を解決するためのアプローチを示す必要があります。また、ターゲットにとって興味深い情報を提供することで、興味を引きつけることが大切です。
効果測定と改善
広告を配信し終えた後は、その成果を確認し、改善点を見つけることが重要です。成果を測定する方法は、アクセス解析ツールやクリック数やコンバージョン数などを用いることが一般的です。その結果をもとに、改善点を見つけ、次回の広告運用に活かしましょう。
まとめ
本コラムではBtoB広告に関して解説をしましたが、よくある失敗の前兆として見受けられるのが”手法から選ぶ”ことです。新しい方法が出たから、他社があの広告をやってうまくいっているから、といった安易な判断で広告施策を実施してしまうと、なんとなくの結果して得られないことが多いです。しっかり何を目的とし、どのような効果を得られれば合格なのか。仮に得られなかった場合、どのような方針でいつまでに改善できれば良いのか(改善余地はあるのか)という入り口と出口の設計がとても重要です。
当社ではBtoBに特化したコンテンツを含めた広告戦略の設計が得意です。お困りな方はぜひ、お気軽にご相談ください。