セミナーといえば、1社で開催する「単独セミナー」が一般的ですが、近年では「共催セミナー」も注目されています。

他社と協力することで、コンテンツの質が向上し、自社単独では得られない成果を得ることができるためです。しかし、共催にはメリットだけでなく、デメリットも存在します。  

本記事では、共催セミナーの特徴や開催までの流れを分かりやすく解説しています。共催セミナーの効果を最大限に引き出すポイントや、トラブルを回避するための具体的な知識も紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。

共催セミナーとは?単独セミナーとの違い

セミナーを開催する方法には「単独セミナー」と「共催セミナー」の2つがあります。

「単独セミナー」は、1社が企画・運営を行い、自社の製品やサービスに特化した内容を発信するセミナーです。自社の強みを最大限に打ち出し、参加者に対して自社の魅力を直接訴求することが目的です。

一方、「共催セミナー」は、複数の企業が協力して企画・運営するセミナーを指します。

主に同業種の企業や協業関係にある企業と連携し、各社が持つ専門知識やリソースを結集し、参加者にとって有益なコンテンツを届けることが可能です。参加者の満足度が高まり、リード獲得やナーチャリングの効果も向上するでしょう。

それぞれの方法には特徴があるため、目的に応じて最適な形式を選ぶことが重要です。

共催セミナーのメリット

共催セミナーの主なメリットは以下のとおりです。

  • 単独セミナーより集客しやすい
  • コンテンツの品質が高まる
  • リード獲得数が増える

ひとつずつ解説していきます。

単独セミナーより集客しやすい

共催セミナーは、単独セミナーより多くの参加者を集めやすいと言われています。

各社が持つメルマガの配信リストやSNSアカウントを活用することで、より幅広い層にセミナー情報を届けられるためです。

さらに、複数の企業や講演者が集まることでセミナー自体の話題性も高まり、業界内外から注目されやすくなります。参加者にとって、異なる企業の専門知識を一度に学べる機会は非常に価値があり、関心を引きやすい点も強みです。

イベントやコンテンツの品質が高まる

単独セミナーでは、自社だけのオピニオンやノウハウに依存するため、内容が偏ったり浅くなったりすることがあります。

しかし、共催セミナーでは複数の企業が協力することで様々な視点やアイデアが集まり、内容がより充実します。

イベントやコンテンツの品質が高まれば、参加者の満足度も高まるため、その後のフォローアップにも良い影響を与えるでしょう。

リード獲得数が増える

共催セミナーでは、共催相手が保有するリストからの参加者も多く集まります。

すでに共催相手に興味を持っている参加者は、関連企業である自社にも自然と関心を寄せる傾向があり、リード獲得が効率的に進むでしょう。

また、参加者と共催企業の間に信頼関係が構築されている場合、その信頼が自社にも波及し、個人情報を提供することに対して心理的ハードルが下がります。

共催セミナーはリードの数を増やすだけでなく、その後のナーチャリング活動もスムーズに進みやすく、営業活動の効率化が期待できるのです。

共催セミナーのデメリット

共催セミナーには多くのメリットがありますが、残念ながらデメリットも存在します。事前に対策を講じて、共催セミナーの効果を最大限に引き出しましょう。

自社製品の印象が薄くなる

共催セミナーでは、2社以上が同じイベント内で情報を提供するため、参加者は他社の製品やサービスにも触れることになります。その結果、自社のメッセージや製品が埋もれ、印象が薄れてしまう可能性があります。

例えば共催企業が魅力的なプレゼンテーションを行った場合、参加者の関心がそちらに偏ってしまうかもしれません。こうした状況を避けるためには、自社の強みや独自性をアピールする工夫が不可欠です。

コミュニケーションコストが高い

単独セミナーは自社スタッフのみで行うため、比較的スムーズに準備が進むでしょう。一方、共催セミナーでは関係者が増え、調整や連絡に多くの時間がかかります。

特に、クリエイティブの承認や当日の運営においては、通常以上のやり取りが必要になります。意図の食い違いや連絡ミスが発生し、予定より大幅に遅れてしまうかもしれません。

トラブルを避けるためには、事前に各企業の役割分担を決め、担当者が責任を持ってタスクを遂行することが重要です。

共催セミナー開催の流れと進め方

ここからは、共催セミナーの基本的な流れをご紹介します。各ステップでのポイントも解説しますので、円滑に進めるためにぜひ参考にしてください。

目的を明確にする

セミナーを成功させるためには目的が欠かせません。

何を達成したいのかを具体的に定めることで全体の方向性が決まり、準備がスムーズに進みます。

例えば、新規リードの獲得、見込み客への情報提供、製品やサービスの認知向上など、目的によってセミナーの内容やターゲット層が変わります。

また、共催候補にメリットを感じてもらうためにも、共催セミナーを通じてどのような成果を目指すのかをあらかじめ決めておきましょう。

共催企業を探す

共催パートナーを選ぶ際の重要なポイントは、「顧客セグメントが共通しており、双方にとってメリットがあるかどうか」です。

例えば、どちらも製造業向けのサービスを提供しているものの、ターゲットとする企業の規模が異なる場合には、それぞれの企業が異なる層の見込み客をカバーできます。

各社が持つ強みを活かして協力することでシナジーが生まれ、セミナーの内容が多角的で充実したものになるでしょう。

内容を組み立てる  

以下のような項目を決定していきます。  

  • 内容・原稿
  • セミナー形式(オンライン、オフライン、ハイブリッド)
  • 日時や会場
  • 参加者管理
  • 参加者アンケート
  • 費用負担の割合

なお、共催セミナーでは複数の企業が意見を出し合うため、話し合いが膠着状態になる可能性も考えられます。事前にどの企業がリードを取るかを明確にしておくことをお勧めします。

共同で集客する

参加者を効果的に集めるためには、各社のハウスリストを活用するだけでなく、以下のような施策も取り入れると良いでしょう。

  • SNSでの告知
  • 自社サイトでの告知
  • インターネット広告
  • プレスリリースの配信
  • イベントサイトへの掲載

全体で集客計画を立て、それぞれの強みを活かして宣伝活動を行えば、集客効果がさらに高まるでしょう。

共催セミナーを開催する

セミナー当日は、進行状況に細心の注意を払います。終了時刻が大幅に遅れてしまうと、参加者に迷惑をかけるだけでなく、満足度の低下にもつながる可能性があります。

そのため、事前にリハーサルを行い、スケジュールに無理がないか確認しておきましょう。登壇者のプレゼン時間を調整し、各パートが予定内で収まるよう調整します。また、機材トラブルが起きた場合の役割分担も明確にし、迅速に対応できる体制を整えておきましょう。

共催セミナー開催時の注意点

共催セミナーを実施する場合、複数の企業が関与するため、連携が重要になります。以下のポイントに注意しながら、トラブルを未然に防ぎましょう。

主導企業を決める

各社が同等の発言権を持つと、企画が停滞したり、無難な折衷案にまとまってしまうことがあります。その結果、セミナーを開催したにもかかわらず、費用や労力がかかっただけで期待した成果が得られなかったという事態に陥るかもしれません。

こうした事態を避けるために、あらかじめ主導企業を決めておきましょう。  

1社がリードする形で進めることで、各社の意見をうまく反映しながらも、調整に余計な時間をかけずに済みます。また、責任の所在がはっきりするため、トラブルが発生した場合も迅速に対応できるというメリットもあります。

スケジュール管理を徹底する

共催セミナーでは、複数の企業が関わるため、タスクの重複や抜け漏れが発生しやすくなります。進行に遅れが出ると、全体の予定に影響を与える可能性があります。

そのため、準備段階からスケジュール管理を徹底しましょう。

例えば、プロジェクト管理ツールを活用するのはいかがでしょうか。BacklogやTrelloといったプロジェクト管理ツールを使うと、タスクの進行状況を可視化できます。各社がリアルタイムで状況を確認でき、遅れがあれば早めに対策を取ることもできます。

個人情報を適切に扱う  

ウェビナーで取得した個人情報を事業活動に活用する場合は、事前に参加者へ情報の利用目的や範囲を明確に告知する必要があります。

共催セミナーでは複数の企業が関与するため、それぞれの利用目的を明示し、参加者からの同意を得ることが不可欠です。

申込受付やアンケートの形式によっては、幹事会社だけが個人情報を取得し、その後、幹事会社から共催各社にデータを提供するケースもあります。この場合、個人情報を他社に提供するためには、原則として本人の同意を取得しなければなりません。 

同意のない情報共有や不適切なデータ利用は法律違反にあたるだけでなく、参加者との信頼を損なう可能性もあるため、慎重に対応しましょう。

まとめ

本記事では、共催セミナーのメリットとデメリット、さらに開催までの流れや注意点について解説しました。

共催セミナーは、複数の企業が協力することで、集客力やコンテンツの質が向上するという大きなメリットがあります。一方で、自社製品の印象が薄れるリスクや、コミュニケーションコストの増加といった課題も存在します。

共催セミナーの効果を最大化するためには、本記事で紹介したポイントを参考に、綿密な計画を立てて取り組むことが重要です。

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